2026.09.13
前編では、千光寺の岡崎住職と総代さん方に、先山と千光寺の由緒や、この地に伝わる逸話をうかがいました。
後編となる今回は、実際に皆様にご案内いただきながら、千光寺の境内を巡った様子をじっくりレポートしていきます。真夏の暑い日でしたが、それを忘れさせてくれるほどの、見どころがたくさん詰まったステキな参拝になりました。
SNSで話題の岩戸神社までのルートも解説!ぜひ最後までご覧ください。
まず、お伝えしたい。千光寺は、先山の山頂にあります。山です。
インタビューでお伺いした庫裡までもそこそこ長い階段がありますが、本堂まではさらに長い階段を進みます。

総代井本さん、原田さんの足取りは軽快だ。
参拝レポートは、いきなり荒い呼吸からはじまりました。(ライターDeraは運動を苦手とする現代人です。注:巡縁編集長)
本堂を目指して、さらに階段を登っていきます。途中、「月見台」と呼ばれる舞台がありました。前編で総代さんから伺った、東京から来られた方をご案内したというエピソードの場所です。
楽しみにしていましたし、多分眺めがいいのだろうな、とは思っていましたが。
はい。想像以上、でした。

地上より少し涼しく感じる、緑豊かな眺望。千光寺は瀬戸内海国立公園の中にある。
緑の山の先に、淡路の町並みが広がり、そして海と、青い空。さらにその先には四国も見えている。
何と美しい景色だろう…
と、岡崎住職。もう、その通りです。ここで景色を眺めていると、淡路島が好きにならないはずがないっ。
この日は真夏の炎天下でしたが、ふわりと涼しい風が通り抜けていき、まるで別世界のような場所でした。
この場所に行くだけでも大満足ですが、もちろん先も続きます。後ろ髪をひかれながらも、再び階段を登っていきました。
ついに本堂のあるエリアに到着!三重塔や重要文化財の梵鐘など、見たいところは色々ありましたが、まずは本堂にご挨拶です。こちらには、噂の狛猪もいらっしゃいます。
『為篠王(いざさおう)』、観音様が化身したというもののけ姫のような猪を想像していたので、思っていたよりもずっとかわいい!まだ先ではありますが、亥年には人気になりそうですね。

前掛けが靴のように脚に巻かれていた。
現在の本堂は元和八年(1622年)、阿波藩主・蜂須賀家政公によって再建されたもの。
400年以上前に建てられたお堂が、今なお現役でこの山の上に建ち続けていると思うと、それだけで胸が熱くなります。

本堂にて、岡崎住職。

本堂に上がらせていただいた。通り過ぎる風と木の香りが心地よい。
現在、一部が改装中ですが、正面や内部はすでに工事が終了していました。特別に中に入れていただくと、ふわりと新しい木の香り。見ると、床が張り替えられています。
内陣はゴージャスで、これまた特別に見せていただいた千手観音様もとても美しい。こちらの千手観音様が、淡路島西国三十三ヶ所観音霊場や淡路島八十八ヶ所霊場の第一番札所のご本尊です。舞台とはまた違う、何とも心地よい空間でした。
本堂の裏手に、前編でご紹介した「団子転がし」の風習が行われる場所がありました。
実際に目にしてみると、思っていた以上に崖でびっくり。

慣れない「巡縁」一行は、おにぎりを投げた拍子に自分が落ちそう。
この崖に向かって、亡くなった方への供養としてお団子(一口サイズのおにぎり)を転がす、しかも後ろ向きに投げなければならないのだと思うと、結構怖いのでは?と思ってしまいました。
なお、転がされたおにぎりは、すぐになくなってしまうとか。おそらく鳥や獣たちが食べてしまうそうですが、お供えしたものが山に還っていくという供養のかたちが、とてもステキだな~と感じました。
本堂の左手には、国生み神話に登場するイザナギ・イザナミの二柱の神様をお祀りしている「二柱御大神」の祠があります。
日本で最初にできた山とされる先山の山頂に、国を生んだ神様がいらっしゃる。何ともすばらしいお社だな…と思いつつ、手を合わせます。

伊奘冉・伊弉諾の最初に作られた「先山」でお詣りできるのがなんとも嬉しい。
続いて、境内左手にある梵鐘へ。こちらは、国の重要文化財に指定されています。弘安六年(1283年)の銘が残る、鎌倉時代の貴重な鐘。
なんと、現役で撞くことができます。
古いものなので、優しく扱うのが大事。撞木を引いて鐘に当てると、想像していたよりもずっと深く、余韻の長い音が境内に響き渡りました。
本堂エリアで最も目立つのが、境内右手にある三重塔。淡路島内で唯一の三重塔と言われるだけあって、その姿は本当に堂々としています。
文化十年(1813年)に建てられたと伝わるこちらの塔、淡路島出身の偉人・高田屋嘉兵衛が修築に関わったという言い伝えも残っているそう。

青空を切り取る「三重宝塔」「仁王門」「鐘楼」(左から)
青空を背景にそびえる姿は、まさに「映え」!写真に収めずにはいられませんでした。
三重塔を見学し、再び舞台を通って階段を下りていきます。
山の傾斜に広がった千光寺、境内ツアーはまだまだ続きます。
階段を下りて、インタビューの時にお邪魔していた庫裡(納経所)まで戻ってきました。その並び、入口から言えば一番右手にある建物が、不動明王がお祀りされている大師堂です。

階段を登ると、まず大師堂が目に入る。
こちらは淡路十三仏霊場の第一番札所です。内に上がらせていただきました、炎を背負った不動明王がとてもかっこよくて、想像以上に迫力があります。
淡路島十三仏霊場をご参拝の方はお堂内にてご参拝いただけるそうです。ぜひ寺務所にお声がけしてみてください。
お寺の主な建物を見終えた後で、岡崎住職が「岩戸神社にも行ってみますか?」とお声がけくださいました。前編でもご紹介した、SNSで話題になっている巨大な岩が祀られたお社です。
ただ、「山道を少し行きますが、大丈夫ですか?」とのこと…はい、運動不足がバレバレです。しかし、そこはせっかくなのでがんばります、と、挑戦してみることにしました。
千光寺へ続く階段の一番下に立つと、向かって右手に細い路地があります。今は閉業されている茶店の横を通り抜けていった先に、岩戸神社に続く山道がありました。
実際に歩いてみると、あまり歩きやすいとは言えない、自然味あふれる階段が続いていました。なかなかハードな道のりです。

軽快な岡崎住職の足取りに騙せれてはいけない、乾いた土と枯葉が滑りやすい。
行きは下り坂が中心だったので、滑らないよう一歩一歩慎重に進みつつも、まだ少し体力に余裕がありました。しかし、私は知っています。
下ったら、上るのです。(ライターDeraは運動を苦手とする現代人です。注:巡縁編集長)
木々に囲まれた山道、蝉の声だけが響きわたります。いろんな意味で、少しずつ緊張感も高まってきました。
途中、一か所分かれ道がありますが、右手に進みます。ここで迷わないよう、ご注意ください。

手書きの看板が趣深い。
到着した神社は、想像していたよりもかなり遠かった、という印象でした。
岩戸神社自体は小さな祠ですが、その後ろにそびえ立つ岩の大きさに、思わず息をのみました。

お参りできるスペースは広くない、押しつぶされそうな迫力があった。周りにも数多くの巨石がみられた。
岡崎住職がおっしゃっていた通り。写真で見るよりも、かなり迫力があります。
真ん中で割れたその姿は、確かに「パワースポット」。気が付くと、その姿に、そっと手を合わせていました。
さぁ、帰りましょう。下ったら、上るのです。
はつらつと歩く岡崎住職、総代さん、そしてこっそり同行していた巡縁編集長。一人、取り残される筆者。
山道は、無理をしてはいけません。途中で休みながらもへろへろと上がっていき、駐車場に戻った時には息も絶え絶えでした。
それでも、やはり岩戸に行って良かったなぁ、と思える場所でした。挑戦される方は、ぜひスニーカーなど歩きやすい靴で。
最後にご紹介したいのが、境内のあちこちで出会ったキュートな猫たちです。
舞台の近く、本堂のそば、納経所の周辺でも、のんびりと過ごす猫たちに出会いました。よく見ると耳の先が少しカットされている、いわゆる地域猫たちです。
どの子も人にとても慣れていて、近づいても逃げることなく、近づいてきてなでさせてくれます。

月見台に寝転んでいた。ご住職との関係も温かい、ここは間違いなく心地よいだろう。

「大師堂」前の猫。心地良さそうに寝続けていた。
舞台にいた子は、にゃーんと鳴いてひっくり返り「さぁ、なでろ」と、もう一度にゃーんとひと鳴き。吸い寄せられるように、なでまくりました。
この日はとても暑かったので、みんな日陰でくつろいでいたのですが、近づくと少しひんやりしていたり、涼しい風が吹き抜けたりと、快適な場所をよく知っているなぁと感じました。
キュートな猫たちのお出迎えのおかげで、さらに参拝がステキな時間になりました。
真夏の暑さと、階段や山道との格闘。決して楽な参拝ではありませんでしたが、その分、たどり着いた先で見た淡路の景色や、島民の方たちの信仰によって続いているお寺の存在感など、とても深くすばらしい時間となりました。
淡路島を知りたければ、ぜひ一度、参拝してみてください。

Dera
「巡縁」では関西方面を担当。寺社仏閣巡りと御朱印集めが趣味。クラフトビールに目がない。