世界遺産「比叡山延暦寺」で開運女子旅 〜前編~ 

世界遺産「比叡山延暦寺」で開運女子旅 〜前編~ 

2024.07.23

日本仏教はここから生まれた!比叡山へ行ってみた。 

比叡山延暦寺。歴史の授業で誰もが聞いたことがある知名度の高いお寺ですが、筆者の周りに「行ったことがある」という人は、これまであまり聞きませんでした。「神社お寺を巡りまくっている」と豪語する筆者の周りには、同じように「神社お寺を巡りまくっている」人が集まっているため(多分)、これは日本人口全体のから考えても、行ったことある人は少数派なのでは?これは「神社お寺を巡りまくっている」と言う異名にかけても、ぜひ行かねばなりません。 

 そして、何やら日本の有名な仏教の大半が生まれた場所でもあるとのこと。というわけで、今回は使命感に駆られ!?同じように「神社お寺を巡りまくっている」友人と比叡山延暦寺を実際に巡ってきました。 

筆者のレポートに合わせて、巡り方や参拝時間なども含めてしっかりご紹介したいと思います、ぜひ「比叡山延暦寺めぐり」の参考になさってください。 

 

そもそも比叡山延暦寺とは 

実は「延暦寺」というお寺は、比叡山の中にはありません。比叡山の中にある約150の堂塔を総称し、こう呼ぶそうです。 

そして、参拝前に知っておきたいのが、そもそも比叡山延暦寺とはどのような場所であるのか、ということ。比叡山は、京都と滋賀の間にある山で、古来より「神が宿る山」として山岳信仰の対象でした。比叡山は「龍の通り道」として、風水エネルギーが集まる場所なのだそう。そして、比叡山は「天のエネルギー」の通り道と言われるのに対し、麓の大津市坂本にある日吉大社では「地のエネルギー」をいただけるそうですよ。比叡山の地主神である大山咋神を祀っておられ、ご由緒はおよそ2100年前とのことです。 

比叡山一体の山岳信仰が古来からのものであったことが伺えます。 

 

天台宗の総本山、開祖は「最澄」 

平安時代初期、唐で仏教を学ん帰国した最澄は、山岳信仰の聖地であった比叡山に延暦寺を建し、日本に天台宗を開きました。最澄は比叡山の麓である現在の大津市坂本の周辺で生まれたと言われています。 

なお、最澄や天台宗については、今後コラムでご紹介したいと思います。 

 

「日本仏教の母」と呼ばれる比叡山 

天台宗の総本山である比叡山とよく比較されるのが、真言宗の総本山である高野山。同時期に活躍した最澄と空海、それぞれの開祖が眠る寺院として有名ですが、違いは何なのでしょうか。

 

わかりやすく言えば、比叡山はUniversity=仏教の総合大学、高野山はCollege=真言宗の単科大学、というイメージです。

 

仏教の総合大学として、比叡山からは多くの仏教の開祖や高僧が輩出されました。特に鎌倉時代には、浄土宗の開祖・法然、臨済宗の開祖・栄西、浄土真宗の開祖・親鸞、曹洞宗の開祖・道元、そして日蓮宗の開祖・日蓮など、鎌倉仏教の祖師たちが比叡山で学び、自らの教えを全国に広めていきました。

そのため、比叡山は「日本仏教の母」とも呼ばれています。 

 

行く前の予習。車と電車、どちらが便利? 

比叡山はとにかく広い!どこに参拝に行くのか、どんな場所があるのかなど、予習をしておくのがおすすめです。昨年比叡山に電車で行った知人によれば、乗り換えが多く時間がかかると聞いたため、筆者は車で行くことを決めました。 

 

エリアは大きくわけて3つ「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」 

比叡山は主に、「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」の3つのエリアに分けることができます。 

今回のコラム前編では「東塔(とうどう)」エリアについてレポートします。

 

○「参拝時間は少ないけれど、比叡山を一度体験してみたい」という方は、「東塔」エリアに行くのがおすすめ。1時間半~2時間ほどで回れます。 

 

○「まぁまぁ時間があるから、比叡山を満喫したい」という方におすすめなのは、3つのエリアのメインの場所を訪れるコース。今回、私たちはこちらのコースで周りましたが、半日あれば十分回ることができました。満遍なく比叡山を体験した気持ちになれます。 

 

○「比叡山を満足いくまで真剣に参拝したい!」という方は、何しろ境内面積は、山一つ。ご自身のご都合と意欲に合わせて参拝してみてください。 

 

車の場合 

比叡山は、京都と滋賀の県境にあります。京都旅行の延長で向かったため、筆者は京都市内から比叡山ドライブウェイと奥比叡ドライブウェイを利用しました。滋賀方面からも同様にドライブウェイを利用しての道中になるようです。京都市内からも大津市内からも、どちらも30分ほどで延暦寺エリアに到着します。 

 

車で行くメリット:小回りがきくこと 

車で行くことのメリットは、何といっても小回りがきくこと。すべてを回っても半日かからなかったのは、車でスイスイ進めたからだと思います。どのエリアも駐車場があるので、安心。加えて、比叡山のドライブウェイは関西地域でも有名なビュースポットになっているそうで、琵琶湖や大津の街、反対には京都市街を一望できて、ドライブとしても最高でした。 

 

車で行くデメリット:ドライブウェイの利用料金が高い。続く山道、運転が荒いと酔います。  

比叡山ドライブウェイと奥比叡ドライブウェイ。調べていた時に気付いたのですが、結構お値段が高いのです。すべてのエリアを往復すると、利用料は3,270円。ホームページ上に若干割引になるクーポンがあるので、印刷していくのがおすすめです。 

また、ルートはカーブの続く山道。運転に自信のない人は、結構辛いもしれません。車酔いする人には、地獄の道中になってしまいます…実際、筆者の荒い運転で、同行者が車酔いをしました…

豆知識ですが、車酔いの際は、目を閉じると少し良くなりますよ。乗り物酔いは視覚からの情報と三半規管が受ける刺激とのズレによって起きることが多いので、視覚をシャットアウトすると少しマシになるそうです。

 

電車の場合 

昨年比叡山に電車で行った知人によると、乗り換えが結構複雑だったそう。 

京都駅からの場合、まずは出町柳駅から叡山電車に乗って、八瀬比叡山口駅に向かいます。続いてケーブルカーに乗って、八瀬駅から比叡駅まで。さらにロープウェイで比叡山山頂まで。あとはシャトルバスを利用して、各エリアを回ります。ちなみに、直通で行きたい場合は、京都駅から各エリアを回るバスも出ているそうですよ。 

滋賀方面からの場合、坂本からケーブルカーが出ています。 

 

電車で行くメリット:楽しい電車がいっぱい体験できる 

比叡山エリアに行くには、京都から様々な電車に乗り継いで向かいます。乗り物を楽しみたい人には、叡山電車の中でも観光列車「ひえい」や展望列車「きらら」に乗るのがおすすめ(「ひえい」は、7/2~10月中旬まで定期点検のため運休だそうです)。

さらに、ケーブルカーやロープウェイなど、旅先でしか乗れないような乗り物にこんなに連続して乗車できるのは、なかなかないこと。乗り物好きな人は、ぜひ電車で行ってみてはいかがでしょうか。 

 

電車で行くデメリット:到着まで時間がかかる。  

公共交通機関のデメリットは、やはり時間がかかること。時刻表に合わせて行動しなければならないというのもネックです。さらに、乗り換えにも結構時間がかかるようで、電車の旅を楽しみたい方以外は少し大変かもしれません。このデメリットを聞いて、筆者は車での移動を決めました。 

 

比叡山、実際に巡ってみた。 

ここからは、筆者が実際に巡ってみたレポートをお届けします。良かったこと、もっとこうすればよかったというポイントも合わせてご紹介します。ぜひ、実際に行くときの予習としてお役立てください。 

 

京都から意外と近い比叡山 

当日は京都市内でレンタカーを借りました。延暦寺の拝観時間が9:00~16:00のため、拝観開始時間に間に合うよう出発。「比叡山」という山岳のイメージから遠そうに感じていましたが、事前に調べていた通り30分少々で到着し、本当に京都から少し足を延ばすだけで行けることがわかりました。 

なお、比叡山の拝観料は大人1,000円。東塔・西塔・横川、すべてのエリアの共通券となっていますので、最初に入ったエリアから別のエリアに行く際、なくさないように注意してくださいね。 

 

まずは東塔エリアへ  

京都側から比叡山に入ると、最も近いのが延暦寺のメインエリアとなる「東塔」です。第一駐車場に車を停めて徒歩で散策します。観光バスも多く止まっており、入口にはお土産売り場もあるなどかなりにぎやかでした。 

入口から少し進むと、最初に国宝殿がありました。「国宝」とは最澄が示した教え、「一隅を照らす、これ即ち国宝なり」からきており、「人の心こそが宝物」という意味だそうです。時間の都合上、今回は断念しましたが別途500円で、本物の「国宝」や「重要文化財」がといった貴重な宝物が見られます。 

 

鐘をつくところからはしゃぐ 

続いて、大講堂という仏教の講義をする建物が見えてきます。そして、すぐ隣に大きな鐘も見えてきました。我々の中で、「比叡山の鐘」といえばNHK「ゆく年くる年」でゴーンとつかれる鐘!きっとあの鐘に違いない! 

大正解でした、「NHK「ゆく年くる年」の鐘」はなんと、「開運の鐘」として公開されており、誰でも鐘をついて良いということなので、ゴーンとつかせていただきました。鐘つきに慣れていない人は、後ろ向きに鐘を突く(鐘を背にして、前に向かって紐をスイングする)と、上手に鳴らせるそうです。筆者もついてみましたが、予習の成果が発揮でき、とても美しい音を山に響かせることができました、大満足です。「開運の鐘」として、この鐘の音は幸運を呼び込むと言われています。 

 

小網神社の参拝後に懸賞で「旅行」が当たるなど、ただでさえ強運のライターさん、さらに開運したようですね!

 

そして、この鐘には「なすび婆」伝説というものがあるそうです。その昔、宮中で罪を犯し地獄に落ちた老婆の魂が、仏の慈悲で比叡山にあり、比叡山が火事になった際、人に知らせるためにこの鐘をつくというのです。織田信長の比叡山焼き討ちの際も、この大講堂の鐘を「なすび婆」がついて急を知らせたとのこと。比叡山の7不思議に数えられているそうですよ、ちなみに顔がなすび色なので「なすび婆」とのこと。なんだかよくわからないね、あと女性を「婆」と言うのはいけないと同行者と言い合い、次の場所へ。 

 

根本中堂は工事中 

東塔にある「根本中堂」は、比叡山の中心といえます。いわば、比叡山の本堂に当たるそうです。そして、古来より「神が宿る山」として山岳信仰の対象であった比叡山の、最も風水エネルギーが集まる場所なんだとか! 

残念ながら、現在根本中堂は2016年から10年かけての大改修中のため入れるところが制限されていますが、「根本中堂の屋根」や「廻廊屋根の葺き替えの様子」を間近で見学できる修学ステージがあるなど、完成していたら決して見られない場所を見ることができますよ! 

根本中堂は、平安時代に最澄が草庵を建立したのがはじまりで、本尊は最澄が刻んだとされる薬師瑠璃光如来です。その前に置かれた燈明は「不滅の法灯」と呼ばれていて、1200年前に灯されたものと同じ火が今でも続いているそう。 

正確には信長の焼き討ちで消滅したものの、分灯していた立石寺から再び分灯してもらったため、同じ火であるそうです。

 

なお、お堂の中は撮影禁止です。 

YouTubeがあるので、ぜひ次の項「根本中堂の中で不思議体験をする」を楽しむためにもご覧ください。 

 

根本中堂の中で不思議体験をする 

早速、根本中堂の中へ。動画の通り、根本中堂は、内陣と呼ばれる部分が一階分下がった場所にあります。一歩踏み入れた時から、本当に神聖な空気を感じていたのですが、ここで不思議な体験をしました。 

 

身を乗り出して内陣を見る参詣者がいたので、筆者も真似てみたのです。すると、内陣部分に入った指先から上半身に、ピリピリピリとゆるい電気のようなものが走りました。びっくりして体を引くと、何と隣にいた同行者も、同じように体をスッと引いたのです。お互いに顔を見合わせ、もう一度内陣に身を乗り出してみました。すると、再びピリピリとしたものが体を走ります。それも、内陣に入っている部分だけ。それは、とても優しく、何とも言えないふわふわとしたあたたかい気持ちになりました。 

 

あとで同行者に聞くと、やはり同じような体験をしていたとのこと。しかし、車酔いをしていたもう一人の同行者は、残念ながらまったく感じなかったようです。感じる、感じないは人それぞれかもしれませんが、「絶対に一度は行ってみた方がいいよ!」と勧めようと、強く感じられた体験でした。

あと車酔いすると感じにくくなるのかもしれないので、小ネタの酔わない方法、ぜひ試してくださいね。 

 

今しか見えない、気が遠くなりそうな作業を見学 

改装中の根本中堂。なぜ改修に10年もかかるだろう?と思っていたのですが、「屋根の葺き替えの様子」を間近で見学できるステージでよくみてみると、小さな板が1枚ずつ貼られていました。さらに、銅板も、1枚ずつ、重ねて。気が遠くなりそうな作業に、これは何年もかかるわけだ、と、納得。 

 

廻廊の屋根は厚さ2.4cm、長さ30cmの板を8.5cmずつずらして止めているそうです。 

根本道場の屋根は銅板を屋根の形状に合わせて加工して止めているとのこと。そのほか、漆の塗り替えや、彫刻の修理、柱の修理などが行われているそうですよ。 

 

以前、宮司さんから伺った式年遷宮のお話で「改修する理由はいくつかあるけれど、その1つは技術を次の時代に伝えるためなんですよ」という言葉にとても印象に残っています。根本中堂の改修で使われている技術も、きっと失ってはならない伝統なのだろうな…と感じました。 

 

予習のかいがあって見えたお堂 

根本中堂を拝観した後は、エリアの名前の由来ともなっている東塔へ向かいます。その途中、地味ながらも延暦寺にとって重要な見逃してはならない建物があるので、ぜひ立ち寄ってくださいね! 

 

それは「戒壇院」という建物。ここは、「修行をした僧が戒律を守ることを誓う儀式」を行う、いわば「僧侶になる資格」が与えられる場所です。 

一般生活を送る人々にはあまりピンとこない儀式かもしれません。そしてそれを行う地味な建物が、なぜ延暦寺にとってこの建物が重要なのでしょうか。 

 

それは、この建物の創設が最澄の悲願だったから。 

平安時代の当時、僧侶になるためには2つの決まりがありました。それは、決められた寺院出身の者であること、そして、決められた寺院でお坊さんになるための儀式=授戒を受けることでした。 

 

延暦寺は最澄の功績が認められて、決められた寺院として僧侶になる者を輩出することはできたものの、僧侶になるための資格を与える権利は最澄の生前には下りませんでした。 

 

言い伝えでは、最澄の死後7日後に、ようやく朝廷より許可が下りてこの戒壇院を設けることができたそうです。 

最澄の生前の願いが叶ったことで、のちに各宗派の開祖たちが比叡山で学び、自らの教えを全国に広めていく第一歩を手に入れた場所なのです。

今でも天台宗の僧侶になる方は、この建物で授戒をされていると言う歴史の詰まった建物。僧侶であっても一生に一度しか入れない、大変貴重なお堂です。ひっそりと建つ建物ですが、ぜひ参拝してみてください。 

 

東塔へ。階段の数にまで意味が! 

戒壇院から先に進むと、坂道の先の東塔へ上る階段が出てきます。この階段の数は、52段。これは、天台宗の修行のステップと同じ数になっているそうですよ。深いですね~。 

東塔は正式名称を「法華総持院東塔」といい、最澄が日本全国6か所に作った法塔の1つです。元の塔は織田信長による焼き討ちの際に焼失し、現在のものは1980年に再建されたものとのこと。「塔」の名の通り、最上部には仏舎利が祀られているそうです。 

 

ハードなアップダウンに文殊楼をあきらめる 

東塔エリアのもう1つの見どころは「文殊楼」。絶対に行こうと思っていたのですが、この日は大変天気もよく、大変蒸し暑く…シティガールの筆者たちは残念ながら断念しました…もう少し気候と自分の体調が良い時に、リベンジしたいと思います。 

文殊楼は現在、国の重要文化財に指定されており、7度の火災のたびに再建され現在は8代目とのこと。火災に遭うたびに再建されている、比叡山における重要性が感じられる建物です。 

 

まとめ 

まだまだ先が長い、比叡山延暦寺。小ネタも混ぜつつ、後半には残り2つのエリア、西塔と横川を巡ります。次の大安にお付き合いいただければ幸いです。 
ページトップ