2025.12.19
神戸の中心地・三宮(さんのみや)に鎮座する生田神社は、縁結びの神様として、また神戸の街を守る社として、古くから市民に愛されてきました。
幾度もの戦火や震災から立ち直り、「蘇るいのち」の象徴ともされてきたこの神社は、その歴史の重さとは対照的に、若々しくモダンな雰囲気を併せ持っています。
2026年の初詣に訪れるべき、神戸の中心にある大人気のパワースポットをご紹介します。

生田神社の創建は201年。神功皇后(じんぐうこうごう)の三韓外征からの帰還時に遡ると伝えられています。
今の神戸港にて船が進まなくなったため神意を伺うと、稚和女尊(わかひるめのみこと)が活田長峡国(いくたのながくにつ)に居たいとのお告げがあり、この生田の地に祀られたのだそう。稚日女尊は、諸説はありますが、日本神話の最高神である天照大神の御妹神(おなりがみ)あるいは和魂(にぎみたま)とも伝えられる太陽の女神であり、「活き」「生きる」の語源にもなったと言われる生命力溢れる神様です。
生田神社は、約1800年前に創祀されて以来朝廷の崇敬を集めました。
平安時代(西暦806年)には、朝廷から神社を維持するための「神戸(かんべ)」と呼ばれる民(みやけ)44戸が寄進されました。この「かんべ」が「こんべ」となり、現在の都市名「神戸」へと変化していったとされています。まさに、神戸という街のルーツそのものであると言えます。
また、地元神戸の人々からは、親しみを込めて「いくたさん」と呼ばれています。
また、生田神社は長い歴史の中で、多くの試練に直面してきました。
源平合戦において、源氏と平氏が一ノ谷の戦い(1184年)で激突した際、生田の森は戦場となり多くの社殿が焼失しましたが、復興を果たしました。
昭和13年の神戸大水害や昭和20年の神戸大空襲や、とりわけ1995年に起こった阪神・淡路大震災で、境内は甚大な被害を受け、朱塗りの楼門は傾き、拝殿は倒壊することとなりました。しかし、全国からの寄付により、わずか1年余りで主要な社殿を復興させました。
この困難を乗り越えるたびに力強く立ち上がる姿から、生田神社は「蘇るいのち」や「再生の神」として、特に厄除けや再起の力を求める人々に篤く信仰されています。
ご祭神である稚日女尊(わかひるめのみこと)は、その生命力溢れる神格から、特に以下のご利益で知られています。

稚日女尊は、機織り(はたおり)をする女神とも伝えられることから、人と人との「縁を織り結ぶ」神として信仰されています。神戸の若者文化の中心地にあることも相まって、特に恋愛成就や良縁祈願を求める参拝者が後を絶ちません。
「活きる」「生む」の神様である稚日女尊は、生命の誕生と深く関わっています。安産祈願や、新しい命を授かるための子授けのご利益があるとされています。
妊娠5ヶ月目に入る「戌の日」には、多くの妊婦さんが安産を願い、白い腹帯(岩田帯)の祈祷を受けに訪れます。戌の日に安産祈願をお受けの方限定の『戌の日限定御朱印』も用意されています。
前述の通り、生田神社が幾多の困難から再生してきた歴史から、災厄を断ち切り、物事を新たに始める力を授けてくださる神様として、厄除けや人生の再出発を願う人にもご利益があるとされています。
JR三ノ宮駅から徒歩圏内という立地にありながら、一歩境内に入ると厳かで清々しい雰囲気に包まれます。

神社のシンボルともいえるのが、鮮やかな朱色に輝く楼門と、その先に立つ社殿です。
阪神・淡路大震災後の神戸復興の象徴として、見事に再建されました。
境内入口に立つ大きな朱塗りの鳥居は、待ち合わせ場所としても親しまれており、神戸の街中の喧騒から神域へと入る結界の役割を果たしています。
毎年大晦日に一度門は閉められ、1月1日の午前0時に初太鼓とともに開門し、新年を迎えることが伝統になっています。
それに続く「拝殿」と、御神体が祀られている「本殿」。朱色と金色のその姿に圧倒されることでしょう。
筋骨隆々の狛犬たちにもご注目ください。

社殿の裏手に広がるのが、生田の森(いくたのもり)です。平安時代の『枕草子』など数々の書物に記されたり、源平合戦の戦場ともなったこの森は、空襲などで一部が焼失したものの、今でも都会の中の貴重な原生林として、静寂な雰囲気を保っています。
森の中には、清らかな水が湧き出る「生田の池」があり、この池のほとりでは、水に浸して占う「水みくじ」が大人気です。

授与所にて購入したピンク色のかわいいおみくじを水に浸すと、文字が浮かび上がってきます。このおみくじは、結び所に結んで頂くか、持って帰って大切に保管してもどちらでも大丈夫です。
境内には樹齢数百年の大きな楠が何本も立っており、特に拝殿の横にある御神木は、生命力の象徴として崇敬を集めています。
本殿だけでなく、境内にはいくつもの末社(まっしゃ)が祀られています。

宗像三女神が祀られ、金運・芸能にご利益があるとされる「市杵島神社(いちきしまじんじゃ)」や、酒造の神として知られ、健康や長寿の願いが込められた「松尾神社(まつおじんじゃ)」。道ひらきの神様「猿田彦命」を祀り、海上安全や交通安全などにご利益がある「大海神社」などがあります。
さらには安産と成長を司る神功皇后が祀られる「生田森坐社(いくたのもりにますやしろ)」などもあり、これらを巡ることでより多くのご利益を授かることができます。
まだまだ魅力が伝えきれていない部分をさらにご紹介していきます。
生田神社の建築のあちこちにハート型の彫りが見られます。
縁結びの神社だからハートをいっぱいつけたんだ!ということを考えてしまいそうですが、実はこのハート型は神社建築様式のひとつである「猪目(いのめ)」というイノシシの目を模した型で、魔除けや福を招くものとして昔から使用されているものだそうです。
これは、伝統的な日本建築にはもちろん、仏具や刀剣などにも使用されている文様です。
生田神社では、縁結びの神様ということもあり人気の写真スポットとなっています。

お正月といえば、門松が連想されるところですが、実は生田神社に門松はありません。門松どころか、松の木すらありません。
かつて水害にて砂山の地から現在の場所へ遷ってきたという経緯の中で、周りにあった松の木が倒れ、社殿を傷付けてしまったことから不吉なものとされ、「松を入れてはいけない」となってしまったようです。
そんなこともあり、お正月は門松の代わりに約2000本の杉の枝を使った「杉盛(すぎもり)」という飾りが立つようになっています。
生田神社には、縁結びで有名なのとは裏腹に「カップルや夫婦で行くと別れる」というジンクスがあります。
それは女性の神様である稚日女尊が、カップルが行くと嫉妬して別れさせるのだというものです。
とはいえ、縁結びの神様は「ふさわしい相手(縁)を結ぶ」ものなので、あまり気にせず、清らかな心でお参りするのが良さそうですね。
生田神社は、神戸という近代的な国際都市の中心にありながら、1800年以上の歴史を静かに守り続けている稀有な存在です。
稚日女尊の生命力溢れるご神徳、人と人との縁という糸を織り成し、結び続け愛される力、震災や戦火から蘇る強さ、そして街の名にもなった土地との深い繋がり。そのすべてが込められた場所でありながら、厳かで清らかな神域として信仰される一方、「いくたさん」と親しみを込めて呼ばれ、地元の人々に愛されてきた身近な神社でもあります。
訪れるすべての人々に、良縁と再起の力を与えてくれるはずです。
今年は新年の太鼓とともに「いくたさん」に足を運び、新しい年への活力を授かってみてはいかがでしょうか。

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