四つ星ホテル隣接!大阪ミナミの「三津寺」で人間のレベルが上がった!

四つ星ホテル隣接!大阪ミナミの「三津寺」で人間のレベルが上がった!

2024.08.20

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「天下の台所」として知られる大阪の大動脈「御堂筋」。梅田からなんばまでの4.4キロにわたるこの大通りは、心斎橋、アメリカ村、道頓堀などの賑わい溢れる繁華街「ミナミ」へと人々の波を繋ぎます。

そんな大阪のメインストリートに、ハイブランドの店舗が立ち並ぶ中に位置するお寺があります。さらに、その本堂の上には「四つ星ホテル」が建っているのです。

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今回ご紹介するのは、真言宗の寺院「七宝山 大福院 三津寺」、通称「みってら」です。

仏教初心者である巡縁運営が、フリーペーパー「フリースタイルな僧侶たち」の代表としても知られる三津寺の住職、加賀俊裕さんに「みってら」の魅力を教えていただきました。また、巡縁運営方針の悩みについても相談し、仏教的な観点から温かくお答えいただいた様子をお届けします。

『フリースタイルな僧侶たち』の代表加賀さん

三津寺をご紹介する前に、少し『フリースタイルな僧侶たち』というフリーペーパーと、お寺・神社の情報サイト「巡縁」についてお話しさせてください。

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『フリースタイルな僧侶たち』は、加賀俊裕さんが代表を務める、宗派を超えた僧侶や仏教に可能性を感じる人々が集まって創刊されたフリーペーパーです。

このフリーペーパーは毎号1万5千冊を発行し、多くの読者に親しまれています。

2013年には日本フリーペーパー大賞(現:日本地域コンテンツ大賞)で特別賞を受賞するなど、現代社会に仏教を受け取りやすい形で発信する最前線といえる存在です。

巡縁の目指す先

「巡縁」は、老若男女全ての関心事である「ご縁」に着目し、これまでお寺や神社に興味がなかった方々にもその魅力を伝えることを目的とした、いわば「おせっかい」な広報サイトです。

スタート当初、神社やお寺の情報を発信するサイトの中で、独自の特色をどう打ち出すかに悩んでいました。そんな時に出会ったのが、「フリースタイルな僧侶たち」でした。

「フリースタイルな僧侶たち」の存在に感動を受け、「巡縁」は主流の「御朱印」や従来の「供養」中心の仏教の枠にとらわれず、新しい視点でお寺や神社の魅力を伝えることを模索し、現在のコンセプトに辿り着きました。試行錯誤しながら、これからも進化し続けていきたいと思います。

 

モダンでかっこいい、自由なマガジン「フリースタイルな僧侶たち」

現代的な感性から繰り出される問題提起により、「宗教ってなんだかわからない」という壁をさらっと飛び越えて、身近に感じさせる力を「フリースタイルな僧侶たち」から感じました。読後には、仏教を身近に感じると同時に、「なんか私、ちょっと人間としてレベルアップした気がする」と思わせてくれます。

さらに、構成、デザイン、レイアウト、写真の抜け感、全てが非常にかっこいいのです。広告がないため、本当に自分たちの表現と発信ができる、そんな芯の通った自由な表現も「フリスタ」の魅力です。

「宗教ってなんだかわからない」「面白くない」と思っている方に、興味を持ってもらうきっかけを提供したい「巡縁」にとって、「フリースタイルな僧侶たち」は憧れの存在です。

 

「三津寺」さんの魅力をご紹介します!

そんな先進的な取り組みをされている加賀さんがご住職を務める三津寺には、お寺の印象を変える数々の魅力があります。

 

御堂筋の象徴 「みってらさん」って呼んでね

まず驚くのは、繁華街のど真ん中にお寺があることです。三津寺、通称「みってら」は、昔から待ち合わせ場所として御堂筋の象徴だったそうです。

左右にハイブランドを従えた三津寺の姿は、まるで三尊像のように御堂筋沿いに重厚な存在感を放ち、大阪ミナミの繁華街の中で、独自の風格を漂わせています。

 

「唯一無二の四つ星ホテル」カンデオホテル大阪心斎橋が上にあるお寺

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「唯一無二の四つ星ホテル」として名高いカンデオホテルズが、三津寺の上にあります。

この取り組みは、東京建物株式会社と共同で大改修が行われた際に実現しました。江戸期に建てられ、大戦の戦火を免れた貴重な木造本堂や昭和初期に建造された鉄筋庫裡・前堂・山門を次の100年に残すための改修は、歴史的な建物と現代的な施設が融合した独自の景観を作り出しました。

カンデオホテルズは、全国28店舗展開(2024年時点)しており、全ての店舗に空を見ながら身体と心を整える「天空の露天風呂」を完備しているのがセールスポイントの一つです。

さらに、大阪心斎橋店では、三津寺の存在により、心の平穏も得られる体験ができます。心斎橋店は、本堂の落成に合わせて2023年11月にオープンしました。

 

三津寺に来てきて!心を整える方法

「三津寺」では、気軽に仏教に触れ、心を整えることができる様々な方法が用意されています。

 

自分で描く御朱印 「御朱印絵写経」

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全国的に人気の御朱印は、お寺にご縁がなかった方々が信仰に触れる気軽なきっかけの一つです。また、写経もお寺の仏教体験として人気です。

三津寺ではその2つを合体させた 「御朱印絵写経」が体験できます、そしてこれは「仏道修行」です、真理に近づくように心を込めて行いましょう。

 

「御朱印絵写経」の手順

まずは手を合わせて、心を落ち着かせましょう。

本堂には「塗香」(ずこう)という粉末状のお香が用意されており、手に刷り込んで身を清める作法が体験できます。漢方薬のような香りがスッと日常から修行モードに切り替えてくれるはずです。ぜひ、試してみてくださいね。

次に、これから描く仏様をよく観察しましょう。「御朱印絵写経」では、十一面観音様と愛染明王様の2つのデザインが用意されています。筆ペンで線をなぞり、色鉛筆で自由に色をつけていきます。

写経修行を行った日付と願い事を書き入れた後、最後に社務所でハンコを押してもらいましょう。出来上がった「御朱印絵写経」は、三津寺に収めても、持ち帰ってご朱印帳に貼ってもOKです。

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心を落ち着けて、ほんの数分、目の前の和紙に写った神様と対峙する時間は、忙しい毎日の中にできるちょっとした「余白」です。きっと心の休息と栄養を与えてくれる時間となることでしょう。

リピーターが多く、近所の方がさっと立ち寄られる一方で、ホテルに泊まる海外旅行客の方には特に人気の修行だそうです。

「御朱印絵写経」は、加賀ご住職の仏画の先生である浅井雅宝さんと観舟さんご夫婦が下絵を手掛けられました。その下絵を基に、自分の心の中にいる「愛染明王」様、「十一面観音」様のお姿を写し出してみましょう。

 

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また、月に2回程度「絵写経の会」が開催されており、10種類以上の絵写経用紙から選び、本堂の中で写経修行を行うことができます。

 

「朝のお勤め」に参加できちゃう!

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三津寺では、毎朝のお勤めに参加することができます。出勤前の30分、心を整えに来てみませんか?毎日7:30から8:00までの30分がお勤めの時間です。

近隣のハイブランドの経営陣が参加されることもあり、その際、ご住職は「当社が御堂筋への出店を決定したのは三津寺があったから」とお伺いされたことがあるそうです。

持ち物は特に必要ありませんが、本堂に上がるため、過度に肌を露出するカジュアルすぎる服装は控えましょう。特に裸足は神仏の前ではNGですので、気をつけてくださいね。

 

愛染明王様にお願いっ!「愛染護摩祈願」

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「御朱印絵写経」を行うとよくわかるのですが、愛染明王様は手にさまざまな宝具を持っています。その一つが弓と矢です。西洋ではキューピットが「相手の心を撃ち抜いて」恋愛を叶えるご利益をもたらす弓矢ですが、愛染明王様のお持ちになる弓矢は少し異なります。

愛染明王様の弓矢のご利益は「早く効く」ことです。まるで薬のような宣伝文句ですが、愛染明王様の弓矢は「目的にすぐ到着する」ことを象徴しているとされています。

愛染護摩祈願は毎月26日16:00〜17:00に行われ、予約は不要ですので、お近くに立ち寄った際にはぜひ参加してみてください。

さらに、三津寺では非常に先進的なお札「菩提おこし」がいただけます。通常、お札は紙で包まれていたり、木の板に神様のお名前が書かれていたりしますが、三津寺のお札はなんと食べられるのです。

 

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このお札には、お釈迦さまが口にされ、菩提(悟りによる心穏やかな生き方)を得た「乳粥」を再現した「おこし」が納められています。

「菩提おこし」を食べることで、心が穏やかになり、心からの願いを奮い起こすきっかけとなるようご祈祷されています。

おこしは結構硬いので、願いを込めてよく噛み締めるのがおすすめです。生クリームにレーズンやカルダモンが入っており、インドを思わせる上品なスパイシーさがあり、大変美味しいですよ!こちらは三津寺の授与所で、いつでもいただくことができます。

「菩提おこし」は、大阪の老舗「栗新」で作られており、その美味しさからお菓子として買われていく方もいらっしゃいます。ご住職は「本来はお札なのですが…」と笑っておられましたが、ご本人も「本当に美味しい自信作なんです」と太鼓判を押されていました。

パッケージは、ミナミにご縁の深いグラフィティー・アーティストJOEさんによるポップながらも愛染明王様のお力を感じるデザインです。木目を思わせる藍色の愛染明王様のお姿は、神棚に置いても、目線より高い棚に置いても、インテリアの一部として涼やかさを加えてくれます。

 

三津寺の推し仏像!「あなたの推しを見つけにきてね!」

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三津寺には本堂に10体の仏像が安置されています。

真言宗の本堂は極楽浄土を現世に模した豪奢な作りとなっています。

これは「密厳国土」(みつごんこくど)と呼ばれ、この世を仏様の世界のようにしようという真言宗の教えを表しています。

この教えは選ばれた人だけでなく、今を生きる人々が皆、仏道を励み、「仏」のように慈愛の心を持つことで、世の中を幸せにしようとしています。

本堂には、朝のお勤めや絵写経の会の際に入ることができます。

ご住職の加賀さんのこだわりの一つが、本堂の仏像のライトアップです。多くの美術館でも美しい仏像を拝見することができますが、仏像は毎日お参りされることでその存在が活きてきます。しかし、本堂では仏像が奥にまつられるため、暗くてお顔が見えにくいこともあります。

三津寺では、本堂に美術館のようなライトアップを取り入れています。

仏像がまるで後光のように浮かび上がる演出がされており、この照明により仏様の温かみを感じることができ、自然と手を合わせたくなる雰囲気が作り出されています。

 

「昔の人たちは、仏様のご威光をいろいろな形で表現されようとしてきたんですよね。光背(こうはい)※もその一つで、今の技術があればきっと昔の方もたくさんのことに挑戦されたと思います」

※光背(こうはい):仏像の背中から広がる多くの線や、曲線。後光を表していると言いわれる。

三津寺本堂では、現代のライティング技術で光背に光を当て、昔の人々が心で感じ、表現したかった「仏の光」をより感じられるようにしています。

そんな仏像愛が深い加賀ご住職が特にお好きという愛染明王と十一面観音の、参拝者に注目してほしいポイントをお伺いしました。

 

眼力に痺れる!万能で即効性のある「愛染明王」様

愛染明王は御堂筋に向かって安置されています。

これは御堂筋から愛染明王様を身近な存在として感じて欲しいというご住職の願いからです、毎月の護摩祈祷では、その迫力を御堂筋から垣間見ることができます。

そんな愛染明王様の注目ポイントはギョロリと金色に輝く目玉だそうです。

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愛嬌もあり、少し恐ろしくもあり、加賀ご住職の押し愛染明王様は、まるで堺の人情に溢れ、子供達を愛情持って叱ることができる「おっちゃん」のようでした。

蓮華座(れんげざ)
と呼ばれる蓮華の花を模したような台座には数多くの宝珠がくっついています。宝珠とはどんな願いも叶えてくれるという仏の力がこもったありがたい宝物です。愛染明王の蓮華座は、宝珠が溢れ出るように飛び出し、多くの人の願いを叶えるように届ける様を表しているところも見所だそう。

「プロジェクションマッピングで溢れ出る様子ができたら素敵ですね!」とつい言ってしまいましたが、はて、さすがにご本尊に模様を映し出すのは難しいかもしれませんが、ぜひ拝見したい光景です。

 

その日によってお顔か違う!?「十一面観音」

本堂本陣には十一面観音様がおられます。「お勤めのたびに、私の心を反映するかのようにお顔が違うんですよ」と、加賀ご住職。

本陣に参拝させていただき、十一面観世音様の前に立つと、全てを見通すようにうっすらと開いたまなこの奥に光る仏の心、スッと結ばれた口は笑っているようにも、じっとこちらを問い詰めているようにも見えました。

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ふと見ると十一面観音様の散華が置かれていました。御朱印絵写経にも入っているお守りです。

そちらを手に取り両手のうちに合わせてお参りしますと、スッと祈りが届いたように心が暖かくなりました。

神仏をお参りすることで自分の内側の感覚と、内側以外から湧き起こるような「現代社会で使うことが少ない感覚」を研ぎ澄ませることができます。

この繰り返しは、現代人に生きる力を取り戻させる気軽ワークなのではないかと思います。

 

ご住職に教えてもらった!生きるのが楽になる仏教の「エッセンス」

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「巡縁」の運営として、「仏教初心者代表」として、三津寺で目にみえるご利益があった話を伺いたいと加賀さんに質問をしてみました。

「お寺神社に興味がない人は知らないだけで、その方々の力になることができると思うんです。ご縁が遠くなっている人を強烈に惹きつける爆弾みたいなエピソードありませんか!?目にみえるご利益ください!」

大変失礼なインタビュアーなのですが、諦められません。だって、半年前の自分だったら、ご利益があると確信がないと行かなかったと思うんです。
そうしましたら、こんなお話をいただきました。

 

ご利益とはそれを理解できる心

「ご利益ですか〜・・・、ご利益って日常に溢れているんですよね」と、加賀ご住職。

「今日も空が晴れている、暖かい日を感じることができる、家族と会話することができる。ご飯を食べることができる、仕事がある・・・・。」

「その全てを「ご利益」と感じることができるようになる。感謝の気持ちを持つことができるようになることが、仏道を身近に感じる、精進することなんです。」

 

今ここを生きる

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「仕事柄多くの方とお話ししますが、本当に色々な方がいます。

時代に翻弄され子供を早くに亡くしてしまったおばあさんなんて、逆にとても強いんですよ。

なるようになる。今をしっかり生きていくしかないととても落ち着いていて、逆に力付けてもらうことがたくさんあります。」

 

「何か不思議なものを感じたり、見えたり、そんな方もいらしゃると思いますが、多くの普通の人にとって仏教は「人生を生き抜くための実践哲学」なんです。」

 

運営「なるほど・・・今ここを生きるという実践哲学、じゃあ、例えば仏教を学ぶと仕事ができるようになりますか???」

 

加賀ご住職「いや、一見そう思うんですが、そうでもないんですね〜〜(笑)あくまで、生きるための知恵なんです。それが大乗仏教なんです。」

 

小乗仏教は仏本来の教えに近いと言われており、修行の道に出たものだけが悟りを得ることができるというもの。それに対し、大乗仏教は、すべての人に仏の教えが開かれており、欲を持ちながらも人生を生きながら仏の道を進んでいく開かれた道と言われています。

 

「因縁」という意味は。

 

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「因縁という仏教の言葉があります。運営さんのおっしゃる『ご利益』とは、原因と結果という意味になりますよね。

「ご祈祷したからこうなった」、「お参りしたからこうなった」と言った具合のもの。でも実際に「原因」を見つけるのは本当に難しいことだと思いませんか?

 

運営「うむむ、確かに、試験管のように混じりっけない状態じゃないと原因も結果もはっきりわかりませんよね。日常生活で原因を特定することってとても難しいと思います。」

 

「そうなんです。仏教では結果に及ぼす様々な原因を因縁と言います。でも、皆さんが思うような時系列ではなんですよ。すべて繋がっている。よく過去は変えられないと言いますが、変えられるんです。それは「それを捉える自分が変わること」で過去も変えられるんです。未来も変えられる、それは「今を生きる自分」がより良い道を選ぶことなんです」

 

運営「(なんか分かったような気がしてきた)なるほど・・・つまり、毎日をよりよく生きることを選べる自分になること自体が、ご利益と言えるのでしょうか。

 

「そうですね、そうしてご利益を感じ取れる人になっていくこと。そっちの世界にはいるっていうのかな、感謝の世界に生きると「生きるのが楽になる」そのために、身近に仏教を感じてほしい。そのための、朝のお勤めの参加であったり、絵写経なんですね」

 

まとめ

三津寺では、仏教を日常に取り入れてもらうため、朝のお勤めや絵写経といったワークを用意されています。

今回、加賀ご住職との対話を通じて、仏教への理解を深めることができました。

この記事をお読みいただいた皆さまにも、ぜひ三津寺を訪れ、加賀ご住職や僧侶の方々との対話を通じて仏教を感じていただきたいと思います。

先月20日に開催された「夏を乗り切るご祈祷会」をはじめ、季節ごとの行事も今後さらに充実していくとのことですので、ぜひご参加ください。心温まる仏道が、あなたをお待ちしています。

 

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また、玄関にある巨大な数珠は、願いを込めて引くことができます。

数珠玉がぶつかり合って生まれる大きな音は、まるで花火のよう!

御堂筋を通る人々も思わず足を止めて覗き込むほどです。とても楽しい気持ちになり、悪いものが吹き飛んでいくように感じられます。こちらもぜひお試しください。

大きな数珠玉にびっくりするのですが、大きな数珠を回す滑車にもご注目ください。この滑車は耐久性のために、とても硬い木材であるケヤキを使って作られています。ケヤキは硬く、反りやすい木材のため、歪みなく数珠玉を載せて回る滑車に加工する技術を持った職人は日本でも数名しかおらず、この滑車は伝統工芸士の中でも最上位ランクの「京の名工」である木地職人によって製作されたそうです。

三津寺の中には古今の名工による仏具がかしこにあります。ぜひ日本の伝統技法にも注目してご覧ください。

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