浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」に行ってみた!
2023.10.06
上野・東京国立博物館で開催中!京都・南山城の仏像に行ってきました。
2023年9月16日〜11月12日まで、上野にある東京国立博物館で、『浄瑠璃寺九体阿弥陀(じょうるりくたいあみだ)修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」』が開催されています。
奈良時代~平安時代の貴重な仏像が一同に公開されるという、巡縁女子としては必見!とも言える企画展。
残念ながら館内は撮影禁止でしたが、すばらしい企画展でしたのでその様子をレポートしたいと思います。
東京国立博物館って、どんなところ?
東京国立博物館は、「トーハク」の愛称で知られる、日本最古の博物館。
所蔵数約12万点を誇り、2023年4月時点で国宝89件と重要文化財649件を所蔵しています。
場所は、JR上野駅から歩いて10分ほど。地下鉄各線や京成上野駅からもアクセスできます。
徒歩に自信のない方は、上野駅から出ている「めぐりん」というコミニティバスを利用するのが便利。
東京国立博物館前停留所から徒歩2分で到着します。
京都・南山城(みなみやましろ)とは?
南山城とは、京都=山城の南にあるエリアのことで、奈良と京都の狭間に位置しています。奈良時代には都も置かれた場所であり、
平安時代には貴族の荘園として寺院が多く建立されたことから、仏教の聖地とも呼ばれています。
南山城の仏像の特長は、奈良・京都、両方の仏教の影響が見られること。
また、都から離れていたことから戦火を逃れた古刹が多く、仏像最盛期の傑作が多く残されています。
日本でここだけ!浄瑠璃寺(じょうるりじ」)の九体阿弥陀
今回の企画展のテーマにもなっている「浄瑠璃寺の九体阿弥陀」。
平安時代、貴族の間では、九つの極楽往生にちなんで九体の阿弥陀如来像(あみだにょらいぞう)を安置するのが流行しました。
浄瑠璃寺は、当時のお堂と九体の阿弥陀如来像が唯一現存している貴重な寺院です。
2018年から九体阿弥陀の修理が始まり、今回の企画展はこの完成を記念して開催されたそう。
企画展では、横に並んだ九体の阿弥陀如来像のうち、最も右に安置されている一体が展示されています。
特別展「京都・南山城の仏像」の見どころは?
見どころは「すべて」ではありますが、特にじっくり見て欲しい仏像をご紹介します。
まさに主役級!国宝「阿弥陀如来坐像」
前出の浄瑠璃寺の「阿弥陀如来坐像」、九体のうちの一体です。
12世紀に制作されたそうで、平安末期の仏像に見られる丸顔の優しい雰囲気。
左右には、仏教の守護神である広目天(こうもくてん)と多聞天(たもんてん)も並んでいて、こちらは迫力満点!
この三体は、すべてが国宝に指定されています。
本堂で並んでいる時には見られない、台座も必見です。
奈良時代作の貴重すぎる仏像重 「十一面観音菩薩立像」
入口すぐの場所に展示されているのは、海住山寺(かいじゅうせんじ)所蔵の「十一面観音菩薩立像」(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)。
何と、9世紀に作られたもので、当時の中国の影響を大きく受けている仏像だそうです。
比較的小さな仏像ですが、その細やかな細工とやや険しい表情に、いきなり引き付けられます。
奈良時代に作られたものにも関わらず、表情が多様な頭の面がすべてそろっているという、大変貴重な一体です。
迫力満点なのに優しい「 十一面観音菩薩立像」
会場の中央に鎮座する、「十一面観音菩薩立像」。
東大寺の僧侶が創建したという古刹・禅定寺(ぜんじょうじ)の本尊は、何と高さ3mもの巨象です!
その大きさに圧倒されつつも、柔らかなまなざしで優しく見下ろす姿に、ついうっとり見入ってしまいます。
10世紀頃に作られたこの仏像は、中国的な仏像から日本らしい彫刻へと変化していく様子が垣間見える一体。前出の十一面観音と比較してみるのもおすすめです。
個人的に推したい「文殊菩薩騎獅像」
すべてがすばらしい南山城の仏像たちですが、個人的な推しは、「文殊菩薩騎獅像」(もんじゅぼさつきしぞう)です。
同じく禅定寺が所蔵するこの仏像、平安時代の作で、日本の文殊菩薩像の初期の姿をしているのだとか。
しかし、何といっても文殊菩薩が乗っている獅子の表情がカワイイ!文殊菩薩の姿はとても凛々しいのですが、かわいい獅子の姿に、思わずホッコリしてしまいました。
特別展のチケットで、トーハクの常設展がすべて鑑賞できる!
今回の企画展のチケットで入場すると、 東京国立博物館にある本館、表慶館(ひょうけいかん)、東洋館、平成館、法隆寺宝物館の5つの展示館をすべて鑑賞することができます(一部企画展を除く)。
例えば、企画展示室のすぐ横の展示室には、貴重な仏像の数々が!
写真は、国宝に指定されている康円(こうえん)作の木造騎獅文殊菩薩及脇侍像(もくぞうきしもんじゅぼさつおよびきょうじぞう)。
鎌倉時代に作られた像で、前出の文殊菩薩騎獅像との比較鑑賞もおすすめです。
トーハクには、他にも、国宝や貴重な文化財がたくさん展示されています。
その広さと展示品の多さは、1日あっても見つくせない程。時間がある時はぜひじっくり鑑賞してみてください。
開催は2023年11月12日(日)まで。
浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」は、11/12まで、東京国立博物館の本館特別5室で開催されています。
期間中の10/11~26の間のみ、浄瑠璃寺の地蔵菩薩立像(じぞうぼさつりゅうぞう)と薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)の入れ替えもあるそう。
どちらも重要文化財に指定されている貴重な仏像ですので、一度はもちろん、二度・三度と足を運ぶのもおすすめですよ。