金峯山寺秘仏ご本尊 降臨秘話・まとめ「役行者ミッション」

金峯山寺秘仏ご本尊 降臨秘話・まとめ「役行者ミッション」

2026.10.16

まとめ「役行者ミッション」

蔵王権現さまの忿怒の表情の奥に宿る「恕のこころ」。
その言葉は、今も広がり続けています。

そしていよいよ今年、りてん先生が長年見守り続けてきた権現さまと吉野・大峯が、大きな節目を迎えました!

予測の3倍!19万人が訪れた理由とは

りてん先生
今年4月10日から6月7日まで奈良国立博物館で開催された特別展
「神仏の山 吉野・大峯 ―蔵王権現に捧げた祈りと美―」。期間中にはなんと約19万人もの方がお越しくださり、当初の予測を3倍近くも上回る大盛況となりました。
吉野大峯特別展のポスター

吉野大峯特別展のポスター

巡縁ちゃん

本当にすごかったですね。

私が行ったときなんて、博物館の裏手まで大行列ができていて、びっくりしました。

りてん先生
実は私、過去にも役行者1300年遠忌記念の「役行者特別展」(1999年)や、
世界遺産登録記念展(2004年・2014年)、鳥取の三徳山三佛寺との合同展(2015年)など、4つの展覧会を発願し主催してきた経緯があります。累計で65万人以上の方にご来場いただきました。
巡縁ちゃん
65万人!?
すごいですね。それはつまり、昔から多くの人が、役行者や山伏に興味津々なんですね!
りてん先生

そうかもしれないですね。

ですが……
今回の「吉野大峯特別展」には、実は私、一ミリも関わっていないのです!

巡縁ちゃん
ええっ、そうだったんですか!?
りてん先生
ですから開催に至る細かいストーリーは存じ上げないのですが、
過去の経験があるからこそ、主催された皆様の並々ならぬご苦労とあふれる情熱は痛いほどよくわかります。

山を下りた仏様

りてん先生
とりわけ、今回の展覧会には金峯山寺の五條良知管長さまの熱い思いを感じました。
管長さまは
「1000年以上途切れることなく受け継がれてきた祈りの歴史が、現代に伝えられたことへの感謝」
を語られていましたが、
何より素晴らしいのは、
女人禁制の聖地である大峯山上(さんじょう)の大峯山寺本堂から、秘仏の蔵王権現さまが史上初めて山を下りて出開帳されたということです!
本堂を守る護持院や大峯講社の皆さまをはじめ、関係者のご理解を得るまでの道のりは、想像を絶する大変さだったはずです。
さらに、標高の高い山上本堂から奈良の博物館へとお運びする移動の様子もテレビ番組で紹介されていましたが、本当に大きなご努力が払われていました。
奈良国立博物館での慶讃大護摩供

奈良国立博物館での慶讃大護摩供

巡縁ちゃん

史上初めての試みだったわけですよね。

実は私も、テレビのその特集を見て、吉野大峯特別展に足を運びました。

これを逃すと、女性の私はもう二度と会えないかもしれない仏様ですもんね。

りてん先生

そうですね。

そうした多くの方々の尽力により実現した展覧会。

会場で、大峯山寺の権現さまの前で一心に手を合わせるたくさんの女性たちの姿を目にしたとき、「あぁ、大峯も大きく変わる時代が来たのだ」と確信しました。

まさに「山上の権現さま自らが動かれた」と感じた瞬間です。

今も続いている、役行者ミッション

りてん先生
以前から周囲の方に「りてんさんは役行者さまのミッションで動かされていますね」と声をかけられることがありました。
世界遺産登録や修験三本山合同などの修験道のネットワーク作り、秘仏ご開帳など、思えばすべて役行者さまのお力があればこそ成し遂げられたことばかり。
「役行者ミッション」は確かに存在していたのだと思います。
そして、そのミッションが新しい時代の中でまた素敵な花を咲かせたのだと体感させてくれたのが、今回の吉野大峯展でした。
巡縁ちゃん
時代は変わっても、役行者さまの世界はまだまだ広がっているんですね。
りてん先生

そうですね。

金峯山寺も現内局にかわり、
「蔵王一仏~万民安楽とも祈り」運動が実践されるに及んで、秘仏ご開帳を定期的に行ってきた金峯山寺の権現さまだけでなく、いよいよ、山上本堂の権現さまもまた、大きく動き出されたのです。

蔵王権現秘仏ご開帳も新しいフェーズに入ったと感じました。

権現さまは明治の神仏分離・修験道廃止という法難によって、その信仰を禁止され、全国にあったあらゆる権現さまの、そのほとんどが隠されることになりました。

それがようやく、
150年の時を超えて、世に大きく出られることになったのだと、私は知っています。

役行者のミッションが、権現さまを動かし、権現信仰の復興を果たされる時代の幕開けを告げておられます。

そのことをお伝えして、本稿、秘仏ご本尊降臨秘話の最後といたします。

巡縁ちゃん
りてん先生、全4回・7話にわたる秘話、本当にありがとうございました!

命がけの決断から始まった定期ご開帳は、
奇蹟の電話、発露の間、430年ぶりの修理、そして史上初の試みへ……

すべては権現さまのご意志のもと、
ひとつの大きな流れとしてつながっていました。

この連載を読んで吉野の蔵王権現さまに会いに行くと、また違った目線で、あの青黒く輝くお姿が心に迫ってくるかもしれません。

ぜひ「発露の間」で、
しばし手を合わせてみてください。

 

筆者プロフィール

田中利典
PROFILE

田中 利典

たなか りてん

京都府綾部市・林南院住職。金峯山寺長臈、種智院大学客員教授。1955年京都府生まれ。龍谷大学、叡山学院卒。修験道の歴史や祈り、受け継がれる文化を、誰もが親しみを持てる言葉で伝えている。

\ 今年、蔵王権現さまにお会いできます /
令和8年秋
秘仏ご本尊特別御開帳

国宝・仁王門の大修理勧進のため、国宝・蔵王堂の秘仏ご本尊
「金剛蔵王大権現」が特別ご開帳されます。

期間:2026年10月24日(土)~11月30日(月)
拝観時間:8:30~16:00
特別拝観料:大人1,600円/中高生1,200円/小学生800円

※法要などにより、一時的に入堂が制限される場合があります。

⛰️ 修行体験をしてみたい方はこちら

金峯山寺では、修験道の世界にふれられる体験修行を公式ホームページで紹介しています。5月から10月の毎月一回、一般の方を対象に大峯修行体験が開催されており、女性が参加できるコースも設けられています。大峯山での修行に興味のある方は、ぜひご覧ください。

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