坂東三十三観音霊場に行ってみた話③行楽気分と運命の出会い

2025.08.24
巡礼の旅、3回目はつくばへ。
ご無沙汰しております。坂東の霊場巡りレポートの3回目です。
今回の旅は、4年が経過した今でも2人の間で語り継がれている、”運命”(笑)とも言える出会いに恵まれた旅。ええ、もちろんおもしろい方の話です。気軽な気持ちで、お付き合いください。
3度目の巡礼は、電車でGO☆
2021年3月、3回目となった巡礼は茨城方面へ。かなり番号が飛んで、26番札所からのスタートとなります。
いつもは東京から車で向かっていましたが、今回は「つくばエクスプレスに乗ってみたい」という動機から、電車でつくば駅まで行き、そこでレンタカーを借りるという計画になりました。
が…これが最初から大誤算!気分はウキウキで、駅構内にあったランチパック専門店で大量のランチパックを買い込み、コーヒーを持っていざ電車へ!
……普通の電車じゃん!
ご存じの方は「は?」と思いますよね…我々はすっかり、つくばエクスプレス=行楽列車だと思っていたのです。しかし、実態は普通の通勤電車…脳内では向い合せのボックス席などがあり、ゆったりと朝食を食べながら移動できると思っていたのですが、当然横並びの電車内ではランチパックなど食べる余地はなし。
結局、終点のつくばまで持参し、移動中のレンタカー内でランチパックにかぶりつくという事態になりました…。
第二十六番札所 南明山清瀧寺(きよたきじ)
つくば市内を通り抜け、だんだんと山に向かう道を進むこと20分ほど。果樹林を横目に進んでいくと、突然、「え、ここ進んで大丈夫?」という山道になります。駐車場という看板を信じてさらに進めば、清瀧寺の入口。鳥のさえずりが聞こえて、着いた瞬間から心地の良い雰囲気でした。
清瀧寺について
清瀧寺は、茨城県土浦市にある真言宗豊山派の寺院。
奈良時代、行基が聖徳太子作という聖観音を、寺の背後にある竜ヶ峰に祀ったのが始まりと言われています。その後、平安時代に徳一上人の手によって山の中腹に移された後、現在地に観音堂が建てられました。ご本尊は聖観世音菩薩。元は七堂伽藍を備えた大寺院でしたが、天正年間に戦火によって焼失、一度は再建されたものの昭和44年に本堂、48年に仮堂が不審火によって焼失。本堂は昭和55年に再建されたもので、現在は江戸時代に建てられた山門のみが残っています。
山門に残された木造金剛力士像は、体内に阿弥陀如来像を抱いた珍しい姿をしているそう。残念ながら中身は見えませんが、とても立派な仁王さんがお出迎えしてくれました。
箸おみくじは、まさかの末吉
この日は曇り空。少し肌寒い中、山里のお寺は人気もなく、静寂という言葉がぴったりでした。御朱印をいただきながらふと横を見ると、そこには「おみくじ」と書かれたお箸が並んでいました。箸袋がおみくじになっているというものだそうで、せっかくなので引いてみると、何と結果は「急がば回れ」とのこと!何だかこの先の道中を占われたようで、ドキッとしました。
第二十四番札所 雨引山楽法寺
清瀧寺から40分ほど走って、次に向かったのは桜川市にある楽法寺です。こちらのお寺は、観光地としてもかなり有名。特に桜や紫陽花など、花の名所として知られています。この日も平日にも関わらず、多くの参拝者でにぎわっていました。そして、我々は冒頭での話の通りこの地で忘れられない”運命”の出会いを果たすのですが、それはまたおまけの話で…
楽法寺について
楽法寺は、茨城県桜川市にある真言宗豊山派の寺院。飛鳥時代、中国出身の僧・法輪独守によって創建されました。嵯峨天皇の時代、雨乞いに霊験があったことから雨引山という山号を賜り、別名雨引観音とも呼ばれています。ご本尊は平安時代前期に作られた木造観世音菩薩立像ですが、このご本尊、何と八臂(8本の手)を持つ珍しい姿をしています。
アニマルパラダイス!?境内でびっくりする出会い
こちらのお寺ですが、「とにかく濃い!」という印象。というのも、境内に孔雀、アヒル、カモなどの動物が放し飼いされているのです…ちょうどアヒルとカモの行列に遭遇したのですが、普通に建物の中に行列して入っていきました…うーん、すごい光景。さらに孔雀が、すごく立派!しかも、2度も羽根を広げた姿を見せてくれて、サービスが良すぎる!
そして、情報を調べていて発覚したのですが、現在はここにヤギまで加わっているとのこと…まさにアニマルパラダイス。でも、三十三観音の中でも特に好きなお寺でもあるので、巡礼じゃなくても参拝したいなと今でも思います。
第二十番札所 独鈷山西明寺
ランチを食べた後、今度は栃木県に入ります。車で30分ほど進むと、焼き物で有名な益子に到着。途中、なかなかの山道を走り、「え、ここ大丈夫?」という道を案内されますが、信じて進んでください。境内には茅葺屋根の楼門や、めずらしい銅板葺きの三重塔などがあり、まさに「古刹」という名前がピッタリの雰囲気。とても静寂で心地のよいお寺さんです。
西明寺について
西明寺は栃木県益子町にある真言宗豊山派の寺院。天平時代に行基が開山し、紀貫之の子孫である紀有麻呂によって創建されたと言われています。ご本尊は十一面観世音菩薩。先代の住職が元国立がんセンターの研究員をされていたことからか、境内には診療所や介護老人保健施設、グループホームどもあり、地域の医療を助けていらっしゃいます。なお、現在のご住職は先代の奥様、つまり尼僧さんが務められています。
え、笑顔ですか?珍しい「笑い閻魔」は結構怖かった
西明寺の閻魔堂には、「笑い閻魔」と呼ばれる、閻魔大王像が祀られています。この日は御開帳ではなかったのですが、入口の間から覗き見ることができました。「笑い~」などというのでさぞにこやかな閻魔さまがいらっしゃるのかと思いきや、まさかの白目をむいてて、めっちゃ怖い…「アハハ」というよりも、「グワッハハハハ」という声がふさわしい方のお顔でした。
第二十三番札所 佐白山正福寺
西明寺から車で30分ほど走ると、再び茨城県は笠間市に入ります。このエリアには笠間稲荷や笠間焼の工房がたくさんあって、とてもにぎやか。なお、先ほどの益子と合わせて「かさましこ」と呼ばれていて、焼き物巡りをする方も多いみたいですよ。
次のお寺である正福寺は、笠間日動美術館などが隣接する、何とも趣のあるエリアにあります。街並みもステキなので、観光に行くのもオススメだったりします。
正福寺について
正福寺は、茨城県笠間市にある真言宗豊山派の寺院。飛鳥時代、狩人が佐白山の中で千手観音を感得して観音像を彫刻したのが始まりと言われていますが、その狩人の名前も歴代の住職も残されていません。本尊は十一面千手観世音菩薩。つつじが有名なお寺で、シーズンには3万本ものつつじが境内を彩るそうです。
コンパクトな境内に感謝
こちらは最初に少し階段があるだけで、比較的小さなお寺。ここまでのお寺が大きいところが多い上、結構アップダウンがあったため、この時点で疲れ果てていた我々。参拝もスムーズにできて、とてもほっこりしました。当時は静かなお寺でしたが、現在ではめずらしい御朱印がいただけるとのことで大人気の様子。昨年笠間稲荷に参拝した時もすごい人だったので、今はこちらもにぎやかになっているかもしれません。
第二十五番札所 筑波山大御堂
正福寺の近くで甘いものを補充したら、いよいよ今回最後のお寺に向かいます。街中に別れを告げて、向かうは筑波山!しっかり山道を走りますが、そこは観光地でもある筑波山、広くて走りやすいのでご安心を。1時間弱走ったところで、ついに最後のお寺である大御堂に到着します。こちらは、とにかく新しくてキレイなお寺という印象。近くに筑波山神社もあり、有料ですが駐車場もたくさんあるので困りません。
大御堂について
正福寺は、茨城県つくば市にある真言宗豊山派の寺院。平安時代、法相宗の僧・徳一によって古筑波山寺という名で建立され、その後空海が中禅寺と改めました。本尊は十一面千手観世音菩薩。元々は隣接する筑波山神社と神仏習合の信仰を受けていましたが、明治時代の廃仏毀釈で一度は廃寺となります。しかし、本尊は信者の手によって守られ、昭和初期に東京・護国寺の援助を受けて再建。現在は護国寺の別院となり、大きな寺院を意味する大御堂という名になりましたす。
ぴっかぴかの本堂と絶景を満喫
最初に印象にも書きましたが、参拝した時、本堂が完成して間もない時期だったので、とにかくぴっかぴかという印象でした。入り口からまっすぐ伸びた階段、その先に真新しい本堂。何となくソワソワするような雰囲気の中の参拝でしたが、振り向くとそこにはつくば市を見渡す絶景が。旅の最後にふさわしい景色に、今回もいい巡礼だったな~という気持ちで参拝を終えることができました。
おまけ話:食いしん坊嗅覚発動!偶然のレストランが絶品すぎた!
前回、丼万次郎という大当たりを引き当てた食いしん坊バンザイの2人。実は今回の旅でも、運命の出会いともいえる、ものすごい大当たりを引き当てていました。
それは、2か所目の雨引観音での出来事。電車内でランチパックを食べる気満々だった我々でしたが、つくばエクスプレスが行楽列車ではなかったため、「昼食に響いてはいけない」と、車内で1パックを半分に分け合っただけの空腹状態でした。
当初の予定では3つ目のお寺に行く途中に古民家カフェに寄るつもりでしたが、雨引観音の駐車場にある「薬膳中華茶坊三笠」というレストランにくぎ付けに…
「お、おいしそう…」
食いしん坊の嗅覚が察知したこちらのレストラン。「医食同源」「地産地消」「手作り」を基本理念にした薬膳本格中国料理とのこと。
悩んだのは数秒、気づけば目の前に中華料理が(笑)それが、もう、驚愕のおいしさだったのです。いただいた後で知ったのですが、何とこちらの中華、元オークラの料理長さんがシェフをされているとのこと。それは美味しいに決まっていますっ。
ボリューム満点だったのですが、同行した人(スタイル抜群)は、何とごはんをお代わりした上、外で売られている肉まんまで購入!あんまんも買うと言っていましたが、さすがにおなかが大変なことになるから、肉まん1個にして半分に分けることに。しかし、この肉まんが、食後の大満足状態でいただいたにも関わらず、美味しいが止まらない程の絶品!食いしん坊の嗅覚、おそるべしっ。何ともステキなお店との出会いになりました。
■お金のデータ■
今回の巡礼で使ったお金の記録です。
①清瀧寺 御朱印500円
②雨引観音 御朱印500円
③西明寺 御朱印500円
④正福寺 御朱印500円
⑤大御堂 御朱印500円
合計2,500円
交通費
つくばエクスプレス(TX秋葉⇔つくば) 1,205円×2=2,410円
レンタカー 4,280円※
ガソリン代 2,000円※
駐車場代 300円 (大御堂)※
(※は2人で行ったので半分にしました)
小計 6580円÷2=3,290円
ランチ(雨引観音/三笠) 3,360円(1人1,680円)
肉まん 400円を半分で200円
1人あたり、10,080円でした。なお、毎度のお知らせですが2021年時点での金額なので、増減がある可能性があります。あくまで、参考程度にとどめてくださいね。
まとめ。
参拝よりも食いしん坊ネタの方が長い、珍道中。友人は今でも、「あの時、あんまんを買っていれば!」と言っています。予算には入れていないのですが、この度では、つくば山の温泉に立ち寄ったり、当時は茨城が一番近かった那須の絶品ベーカリー「ペニーレイン」に寄ったり(今はスカイツリータウンにあります)と、観光色の強い旅になり、大満足でした。
次回は群馬県。さらに観光色の強い旅になりますが、それもまた巡礼です。ぜひ、お楽しみに!
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