【いよいよ幽霊とご対面!】夏の終わりに幽霊と対面!融通念仏宗の総本山「大念佛寺」のイベント「THE GHOST MUSEUM」に行ってきました 後編

2025.09.14
幽霊に会いに、大念佛寺へ
融通念仏宗の総本山・大念仏寺で開催されるイベント「THE GHOST MUSEUM」。前回は、融通念仏宗についてと、総本山・大念仏寺のことをご紹介しました。
後編となる今回は、幽霊に会えるイベント「THE GHOST MUSEUM」のレポートです。
「幽霊」をテーマに、“死”と向き合う展示たち
受付を済ませて、まずは美術展へ。
いくつかのお部屋に分かれた展示品ですが、そのすべてが死に向き合う展示になっていました。
最初に見たのが、「幽霊の片袖」と伝わる片袖と香合。
これは、西国霊場を目指す男が箱根に差し掛かった時、女性の幽霊が現れて「住吉大社に勤める夫に“自分が亡くなったため供養して欲しい”と伝えて欲しい」と言われ…という物語。
その際、幽霊から託されたのがこの着物の片袖と香合だったと言われています。男から妻の遺品を受け取った夫は、大念佛寺の住職に頼んで妻を供養。すると、住職の元には紫色の雲に乗った女が「これで成仏できる」とお礼を言いに来たそうです。
悲しい話ではありますが、呪ったり祟ったり辛かったりという話が多い幽霊話で、結構ステキなお話じゃない?と感じたりしました。
いよいよ幽霊とご対面!
続いての展示室は、大念佛寺に伝わる十二巻の幽霊図がずらりと並んでいました。
そう、ついに幽霊たちとご対面です。実際に会った幽霊たちを、簡単に解説しつつご紹介します。
累怨霊の図
怪談「真景累ヶ淵」をテーマにした幽霊。
夫に裏切られて殺された女性・累が、幽霊となって後妻を次々と殺し、最後は娘に…という、かなり背筋が凍るお話です。
女性を次々と呪い殺していくかなり怖い累の姿に、ゾッとしますね。
姑獲鳥図
産死した女性の霊・姑獲鳥。
京極夏彦先生の小説でもおなじみの妖怪です。
みとほけさんが解説していましたが、幽霊子育飴の幽霊との違いは、子どもがなくなっているかどうかで、姑獲鳥さんのお子さんは一緒になくなってしまっているそうです。
無表情の子どもが、何とも悲しい…
木幡小平次亡霊図
こちらも江戸時代の怪談に出てくる幽霊・小平次をテーマにした絵。
幽霊役を得意とした役者の木幡小平次ですが、妻の浮気相手に殺されてしまいます。
邪魔者が消えたと女を訪ねたところ、何とそこには生きているのか死んでいるのかわからない小平次の姿が!という話。
沼地で殺されため、足元に水鳥が描かれているのが特徴だそうです。
菅公怨霊図
言わずと知れた、菅原道真公の絵です。
無実の罪を着せられて大宰府に左遷された道真公。
その深い恨みから、亡くなった後は貴族を次々と呪い殺し、果ては内裏の雷を落とすほどの怨霊となりました。
絵の道真さん、怒りをギリギリまで我慢しているという表情でしょうか。神様になってくれてよかったですね。
囲碁師亡霊図
この幽霊さんは、はじめまして、でした。
昔、囲碁は武士のたしなみの1つだったそうで、有力者たちは「囲碁師」という先生から囲碁を習っていました。
その方は、囲碁の勝負のいざこざで、藩士に斬り殺された囲碁師の幽霊。理不尽な理由で殺された幽霊の表情が、めちゃくちゃ怖いです。
野晒し図
風雨にさらされて白骨化した骨が描かれた作品。
後ろに描かれているのは、満月です。
どんなに満ち足りて華やかな生活をしていたとしても、結局は骸骨になってしまう、という諸行無常が伝わってきます。
平知盛亡霊図
壇ノ浦で滅びた平家の亡霊・知盛の怨霊。
能楽「船弁慶」で、都落ちする源義経の前に平知盛の怨霊が現れ、行く手が阻まれる…というお話。
足元には深い恨みの表情を浮かべた平家蟹の姿も見られます。
仙台高尾亡霊図
仙台の伊達網宗に逆らって殺されたという高尾太夫の亡霊を描いた作品。
隅田川で殺されたという由来から、足元には川面が描かれています。生前美しかったであろうお顔は、強い恨みにより大変険しい表情に…
なお、ライター・橙ふさんの記事でもこの高尾太夫のことが触れられているので、チェックしてみてください。
笑い般若図
幽霊となった老女が、屋根の上に座って笑っている、という図です。
死者である証として、白装束と、頭には三角の布が付けられています。
四十九日までは死者は屋根の上にとどまるとう俗説を描いた作品だそう。
不気味ですが、ちょっと意地悪そうないたずらおばあちゃん、という雰囲気も感じられますよね。
更屋敷お菊亡霊図
日本三大怪談のひとつ、播州皿屋敷(または番町皿屋敷)でおなじみ、お菊さんの幽霊です。
誤って主人の皿を割ってしまった、または主人の策略により濡れ衣を着せられて殺された女中・菊が、夜な夜な井戸から出てきて「いちま~い、にま~い」と皿を数えるというもの。
お皿だけ青く色がついているのがまた怖いですね。
柳の下幽霊図
幽霊と柳はよくセットで描かれますが、そんな王道のモチーフが描か足れ作品。
ふわふわと動く柳の葉と、さらさらなびく女性の髪が一体化して、何とも不気味。今にも「うらめしや…」と声が聞こえてきそうな迫力です。
佐倉宗吾怨霊図
千葉県の義民伝説をモチーフにした作品。
領主の悪行を将軍に直訴したため、妻子と共に処刑されてしまった佐倉宗吾が怨霊となり、領主を祟るようになったという物語。
肩に大きな傷がある男が逆さに描かれるという、何ともおどろおどろしい作品でした。
最後は、九相図。
展示室ラストは、九相図でした。
亡くなった若い女性が、骨になるまでを描いた作品。
幽霊図の野晒し図にもつながりますが、生前どんなに美しくとも腐敗して膨張し、やがては崩れ骨となる…という、諸行無常を描いた作品です。
実は、お坊さんの悟りの妨げとなる煩悩を祓うために描かれたものだそうで、閲覧できるはかなりレアとのこと。
大半がパネルでの展示でしたが、あまりにもグロテスクだったので、ほとんど写真を撮ることができませんでした。
ラストは楽しすぎたイベント
展示品を満喫したら、いよいよみほとけさんのイベントです。
2回に分けて行われたのですが、最初は怪談の“かたりべ”である満茶乃さんとの対談。
間に薩摩琵琶奏者・中沢龍心さんの演奏と満茶乃さんによる怪談があって、再度みほとけさんと大念佛寺のお坊さんによる対談でした。
それぞれ、簡単に内容と感想です。
プレミアム講演「みほとけ×満茶乃」
「見えないもの」をテーマにしたトーク。
お二人とも本当にお話がおもしろくて、ずっとニコニコしながら聞いてしまいました。
今後のネタバレになるかもなのでお話の内容は伏せますが、会場による温度差の話をされていたのが面白かったです。
たとえば今回のようにある程度は仏教好きだろうなと思う人たちの前で披露することと、芸人・かたりべの1人として相手の知識レベルがわからない場所で披露することは違う、というのに深く納得。
それと、満茶乃さんの、狐に騙されたかも?というお話がかなり印象的でした。
薩摩琵琶奏者・中沢龍心 演奏会
薩摩琵琶をエフェクターと融合させるという、独特な音楽世界をお持ちの中沢龍心さん。
冒頭、無言で渋い音をきかせてくださり、芸術色の強い方なのかな…と思っていましたが、トークは爆笑の嵐!
そして、琵琶といえば平家物語ということで、幽霊図にも描かれた平知盛の最後を聞かせてくださり、その超絶技巧に圧倒されました。
ぜひ一度、ライブに行ってみたいです。
かたりべ・満茶乃の怪談
先ほどはニコニコとお話されていた満茶乃さんですが、今度は打って変わっておどろおどろしい雰囲気でスタート。
披露してくだったのは、「幽霊の片袖」でしたが、霧の中から幽霊が出てくるシーンは、ゾクゾクっとしました。
お写真でわかると思いますが、満茶乃さん、すごい美人さんなんです。美人が真顔で怪談やると、マジ怖いんだな…と思いました。
みほとけ×大念佛寺 トークショー
最後は、大念佛寺のお坊さんとみほとけさんによるトークショー。
大念仏寺に伝わる”声明”と“御回在”についてお話いただきました。
初めて聞くお話に、興味津々!声明の生披露や、“融通”を体験するために会場が一体となって唱えた「南無阿弥陀仏」など、あっという間の時間でした。
中でも印象的だったのが、みほとけさんの仏像開眼のお話。
「わかりやすく言うと、仏様は普段クラウドにいて、そこにお経や法要というプログラムを書いて、仏像に魂入れる」って、
爆笑じゃないですか!?さすがみほとけさん。
ますますファンになってしまいました。
まとめ
初めて触れた、融通念仏宗。イベント含め、本当に楽しい時間でした。
おまけのような話になってしまいましたが、現在、大念佛寺さんの本堂は改修中です。
中は拝観できないのですが、銅板屋根の葺き替えが行われています。ピッカピカの状態が見られるのは今だけという激レア期間。
さらに夏だけの風鈴や花手水もあって、SNS映えもバツグンです。参拝は隣の建物でできるので、ぜひ参拝してみてください。
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