淡路島を知りたければ、ココに行け!前編|日本で初めてできた場所“先山”にあるお寺「千光寺」に行ったら色々な意味ですごい景色が見えた

淡路島を知りたければ、ココに行け!前編|日本で初めてできた場所“先山”にあるお寺「千光寺」に行ったら色々な意味ですごい景色が見えた

2026.09.13

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淡路の人のふるさとの景色!千光寺に行ってみた

淡路島の中央、洲本市にそびえる「先山(せんざん)」

標高わずか448メートルながら、その優美な姿を淡路島の広い範囲で望むことができ、古くから「淡路富士」として親しまれてきました。

 

実はこの山、古事記における国生み神話で、日本列島が生まれた時に最初にできた山と語り継がれている場所です。

その山頂に建つのが、高野山真言宗の古刹「千光寺」。今回巡縁はとあるご縁により、千光寺の岡崎住職と、総代さん方にお話を伺う機会をいただきました。

すると、これまで観光地というイメージだった淡路島の、全く違う景色が見えてきました。

お話を伺った総代・井本さん、岡崎ご住職、総代・原田さん(左から)

今回は先山と千光寺の魅力について前後編でご紹介します。まずは、お寺の皆様にインタビューした様子からご覧ください!

※ 総代とは:寺院では檀家や信者代表の方を「総代」と呼びます。

 

淡路島で最初にできた山に建つお寺

千光寺は兵庫県洲本市にある、高野山真言宗の寺院。創建は平安時代中期と伝わります。

まずは、先山と千光寺の由緒について伺いました。

巡縁
先山が、日本神話の中で、日本で最初にできた場所という言い伝えがあるのでしょうか
岡崎住職
そうですね。
淡路島ができたというお話は『古事記』の国生み神話にもありますが、そのなかで最初にできた山が、この先山だと伝わっています。
文献に記載されているわけではありませんが、昔からそのように語り継がれてきました

朱色が鮮やかな「仁王門」より望む「本堂」

「先山」という名前も、先にできた山だから、というところから名づけられているそう。そう聞くと、とても信ぴょう性が高くなる気がします。

巡縁
千光寺はいつ頃、開かれたのでしょうか
岡崎住職
延喜元年、西暦901年のこと。今から1100年以上も前ですね。
千光寺を開いたのは、もともと猟師だった忠太という人物です。当時、播州に『為篠王(いざさおう)』という、とても大きなイノシシがいたそうです。
忠太はそのイノシシを仕留めようと矢を放ちましたが、命が絶えず、海を渡って淡路島へ逃げてきました。忠太も追って淡路島へ渡り、先山の山頂まで追いかけたそうです。
巡縁
もののけ姫に出てくる、あの巨大なイノシシみたいな?
岡崎住職
そうですね(笑)
そして山頂の大杉の空洞にイノシシが逃げ込んだところ、忠太がのぞき込むと、そこにいたのはイノシシではなく千手観音様だったといいます
巡縁
イノシシが観音様に!
岡崎住職
はい。
忠太は、自分が矢を放ったイノシシが観音様の化身だったと気づき、深く悔いて猟師をやめ、出家して寂忍(じゃくにん)と名乗り、この場所に千光寺を開いたそうです。
なので、千光寺の本堂の正面には狛犬ではなく、狛猪(こまいのしし)が鎮座しているんですよ。

狛犬がイノシシというのは全国でも珍しいそうで、これだけでも一見の価値がありそうですね。

巡縁
観音様がなぜイノシシの姿で現れたのでしょうか?
岡崎住職
理由ははっきりとは伝わっていないのですが、観音様は元々三十三の姿に変わって人々を救う慈悲の仏様といわれています。
『○○観音』と呼ばれていてお姿もそれぞれです。また、それとは別に、相手や状況に応じて、さまざまな姿で現れるとも考えられています。
姿を変えながら、私たちを教え、導いてくださるということだと思います

現在本堂に安置されている観音様は平安時代末期から鎌倉時代ごろの作と見られており、900年以上もの間山の上でひっそりと人々を見守り続けてきた何とも言えないありがたさを感じました。

 

山岳信仰や修験道とも縁の深い山

淡路を象徴する先山ですが、仏教以前から信仰の場所となってきたと考えられています。巡縁読者の皆さまにもファンが多い「修験道」の話になりました。

岡崎住職
淡路島は、結構、大峯山との付き合いがあるんです。大峯山の関係の行者が、淡路島で護摩を焚くこともあると聞いています。

大峯山といえば、田中利典先生が長老を務められる吉野の金峯山寺が巡縁では馴染み深いのですが・・・

岡崎住職
真言宗醍醐寺派は当山派と呼ばれる修験道の1派です。
仏教は、ほかの信仰を排他的に扱うのではなく、取り入れていくところがありますから。
巡縁
千光寺さん以外にも修験の修行場になった場所はあったのでしょうか?
岡崎住職
正面に見える諭鶴羽山(ゆづるはさん)という山も、大峯山と関係があった場所と聞いています。

山岳信仰や土地の信仰に仏教が重なり合っていったのは、千光寺に限らず各地に見られる大きな流れですが、淡路島においては、この先山と千光寺がその中心的な場所のひとつと考えられており、境内には修験道との関わりを感じる行者堂が鎮座します。

階段下にあるのは月見台。遠くに四国の眺望が広がる。

なお、諭鶴羽山にある諭鶴羽神社は、名前が似ていることから、フィギュアスケーターの羽生結弦ファンの聖地としても一時期盛り上がったそうです。

千光寺は、「淡路十三仏霊場」の第一番札所でもあります。不動明王をお祀りし、来年には開創50周年を迎えるとのこと。島内には十三の札所が点在していますが、千光寺はもっとも山上の札所なのだとか。

巡縁
13か寺だと、1日で回れますか?
岡崎住職
1日だとちょっと大変かもしれませんね
総代さん
淡路島は意外と広いですからね。移動だけでも時間がかかりますよ

とのことでした。せっかくの淡路島ですから、1泊して、いつかゆっくり回ってみたいと思いました。

駐車場には淡路島十三仏霊場の看板が設置されていた。

山に登る人々

千光寺は、檀家を持たず、祈祷や法要を主に行う信者寺なのだそう。そのため、お寺を支えているのは、総代さんや護持会会員さんなど、淡路島の住民の人々。

山では一年を通じてさまざまな行事がありますが、多くの島の人々が、節目や行事のたびに先山や千光寺を訪れるそうです。また、最近では島民以外でも山に登って来る人々が増えているそうで…新旧の山を登る人々について伺いました。

駐車場から「大師堂」に向かう階段、なかなかの急勾配。

 

淡路島独自の風習「三十五日参り」

岡崎住職
千光寺には、この地域ならではの独特の供養の風習が残っています。
全国的には四十九日が知られていますが、淡路島では三十五日に、特別な意味があります
巡縁
四十九日、ではなく、三十五日というのは何かいわれがあるのですか?
岡崎住職
三十五日というのは、七日ごとの忌日法要でいうと五回目にあたります。
最初は不動明王、そして五回目、つまり三十五日目には地蔵菩薩です。また、この日は閻魔様の元で行き先がわかる日とも伝えられています。

亡くなってから35日目、家族や親族が千光寺まで登り、供養として行うのが「団子転がし」

一口サイズの丸いおにぎりを用意して、山の谷へ向けて後ろ向きにおにぎりを転がすという、少し不思議な作法です。

巡縁
後ろ向きに投げる、というのはおもしろいですね
岡崎住職
元々は、亡くなった方の魂が山へ登っていく道中を邪魔する『悪いもの』に食べ物を投げることで、亡くなった方を無事に山に登ってもらうという風習でした。仏教の教えが入ったことで、餓鬼にお供えをするという意味と結びついていきます。餓鬼はとても臆病な存在とされ、人前には姿を現さないので、後ろを向いて人目につかないように施すのです

「人は亡くなると山へ帰る」という土着の信仰と、仏教の供養が結びついて生まれたという興味深い風習です。

 

お正月の恒例行事

千光寺に参拝するには、山の途中にある駐車場に車を停めて向かうのが一般的。しかし、現在でも山を登って参拝をする人が多く、特に元日には、多くの人が歩いて登って来るそうです。

岡崎住職
洲本市主催の『元旦歩こう会』という、50年近く続く行事がありまして元日の朝の登山が、今も続いています。
千人くらいでしょうか、下から歩いて登って来られます。大体1時間ぐらいですね。毎年、洲本市長も来られて、上で挨拶をされます
巡縁
千人ですか!すごいですね。地域の方の恒例行事なのでしょうね。ちなみに、どのようなご利益を願っている方が多いのでしょうか
岡崎住職
千手観音様は幅広くお願いをかなえてくださいます、…病気平癒などのお話はよく聞きますが。あとは、参拝をすることで心がきれいになる、整える場所として来ていただけたらと思います
巡縁
なるほど。新年にぴったりですね

地上から望む山頂の千光寺、月見台に仁王門、三重宝塔が見えている。

 

新しい参拝者

ところで、近年増えているのが、境内地にある「岩戸神社」への参拝者だそう。

真ん中で割れた大きな岩が神聖な磐座として祀られており、天の岩戸や国生み神話にちなんでこの名がついたと伝わっています。

岡崎住職
岩戸神社は境内の一部ではありますが、少し離れた場所にあります。
巡縁
パワースポットとしてSNSなどで話題になっているのでしょうか
岡崎住職
そうですね。
こちらで特にPRしているわけではないのですが、ネットなどで見て来られる方が多い印象です。
千光寺へお参りされる方と同じくらい、岩戸神社へ来られる方がいるかもしれません
巡縁
どれくらい大きな岩なのですか?
岡崎住職
よかったら後で参拝してみましょう。写真では小さく見えますけど、高さはそれなりにあります。岩が真ん中で割れているんです
巡縁
割れた岩というビジュアルから、『鬼滅の刃』を連想して訪れる方も多いかもしれないですね

境内から少し離れた静かな山の中にあるお社なので、パワースポットとして注目されつつも、神秘的で落ち着いた空気が保たれています。

実際に参拝した様子は後半でご紹介しますが…災害級の暑さが続く2026年の初夏、結構大変でした(汗)

 

淡路の人にとっての「淡路富士」

最後に印象に残ったのは、総代さん方が語ってくれた、先山と千光寺への思いです。

総代さん
小さい頃から、この山が信仰の対象でした。中学校の校歌にも『淡路富士 北にそびえて』という一節があるんです。
子どもの頃、祖母に連れられてここへお参りに来ることがよくありました。今でも家から毎日この山が見えます。
本当に富士山のようにきれいな山容をしていて、やっぱりこの山は、淡路の人たちにとって信仰の対象であり、淡路島の象徴なんです

総代井本さんおすすめのスポット!田園風景との共演が郷愁を誘う。

巡縁
地元の方にとっては、ふるさとの景色というわけですね。以前、本堂の修繕をするためにクラウドファンディングを実施されたそうですが、支援は全国から集まったとか
岡崎住職
そうなんです。おそらく、淡路島を離れて暮らしている方も、多くご支援くださったのではないかと思います。特に年配の方は、ここで学校の遠足や研修があったり、お正月に登って来たりと、それぞれ思い出を持ってらして。そういう方たちが、今は島を離れているけれど、修繕の話を耳にして支援してくださったのかなと思っています

島中から見える「淡路富士」がある場所こそが、「ふるさとの山」として代々受け継がれてきた場所。ただの観光地ではなく、長きにわたって信仰と親しみを集めてきた山なのだと感じました。

また、総代さんは、島外の人を案内した時の話もお聞かせくださいました。

以前、冬の夕暮れに、東京から来た二人の女性と境内で出会い、高く聳える石段を前に先に進むか迷っていたので参道の途中にある月見台まで案内したことがあったそうです。四国まで見渡せる、とても景色のいい場所からの風景を見たお二人は感動し、翌年にはご家族で淡路島を再訪されたとのこと。

月見台からの眺望

総代さん
その方がおっしゃっていたんです。『ここへ来て、この景色を見て、淡路島が本当に好きになりました』と。少し声をかけたことが、何年も続くご縁になることもありますから、人とのご縁って、本当に不思議なものですね

ひとつの景色との出会いが、遠く離れた土地の思い出に変わっていく。先山や千光寺には、そんな力があるのかもしれません。

淡路島がどんな島なのか、その原点を知りたいなら、まずは先山へ。階段の先に待っているのは、伝説と信仰、そして人々の思いが重なり合った、ちょっとすごい景色です。

後半は、実際にご住職たちが案内してくれた千光寺参拝の様子をレポートします。お楽しみに!

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⛰ 先山 千光寺

📍 住所
〒656-0017
兵庫県洲本市上内膳2132
🚗 アクセス
洲本から車・タクシーで約25分
淡路交通バス「安田橋先山口」下車、徒歩約100分
🕊 参拝時間
8:00〜17:00(参拝自由)
寺務所受付時間 8:00〜16:30

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筆者プロフィール

みほとけ
PROFILE

Dera

コラムニスト・ネット漫画原作

「巡縁」では関西方面を担当。寺社仏閣巡りと御朱印集めが趣味。クラフトビールに目がない。

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▷▷ライター|Dera

 

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