金峯山寺秘仏ご本尊 降臨秘話・第3話【後編】「恕のこころ」

金峯山寺秘仏ご本尊 降臨秘話・第3話【後編】「恕のこころ」

2026.10.16

後編「恕のこころ」

「10年限定」の約束を超えて、
蔵王権現さまのご意志のもと広がり続けるご開帳。

その権現さまのおこころを、
たった一文字で言い表した言葉があるそうです。

一文字に込められた、権現さまのおこころ

りてん先生
蔵王権現さまといえば「恕のこころ」というのが定着しています。
このお話をしておきます。
巡縁ちゃん
わぁ!それ、気になっていました。
詳しく知りたいです!
りてん先生
定期ご開帳以前、22年前になりますが……
金峯山寺の世界遺産登録記念として、
五條順教管長猊下の大英断で、1年間の秘仏ご開帳を始めることになりました。この事業を着手するにあたって、
一緒に企画したプロデューサーから「りてん、権現さんのご開帳を一言で伝える文字を考えろ」と言われました。
たくさんの人に権現さまを知っていただくひとつの戦略だったのです。
巡縁ちゃん
一言で伝える文字ですか、何と難しい!
りてん先生
ええ。そう言われてもなあ……と、ハタと困りました。

「怒」の奥にある「恕」とは……

りてん先生
必死に考えた末、思い浮かんだのが、
当時の順教猊下が時々揮毫されていた
「恕(じょ)」
という言葉でした。
巡縁ちゃん
見慣れない漢字ですよね。
どういう意味なんですか?
りてん先生
「恕」というのは
お互いを認め合い、赦すこと。まさに忿怒の形相の奥に秘められた、
蔵王権現さまの慈悲の青黒色に象徴される仏様のみ心です。即ち、
忿怒の「怒」の奥に秘された、「恕」のこころ。
「恕」がテーマの御開帳ポスター

「恕」がテーマの御開帳ポスター

びしっとハマった言葉でした。

巡縁ちゃん

「怒」の奥にある、「恕」!

まさに、蔵王権現さまにぴったりの文字ですね!

りてん先生

そうでしょう!

それで、順教猊下にお願いをして「恕」の揮毫を色紙に
500枚書いていただき、
たくさんの方に蔵王権現さまのおこころを届けるべく、
ご開帳事業に関係したみなさまに貰っていただきました。

ただ、残念なことに、このとき、
自分の分を取り残さなかったので
私の手元には1枚もありません。

巡縁ちゃん
わぁ……それは残念ですね。
500枚も書いていただいたのに……
りてん先生
とはいえ、
「恕のこころ」は今でも蔵王権現さまのおこころを現す言葉として、
広がり続けているのは有り難いことです。

忿怒の奥に秘められた「恕」のこころ。

その言葉が生まれた背景には、
りてん先生の深い思索があったのですね。

次回、いよいよ、
すべての物語がひとつに結びつく最終話です!

筆者プロフィール

田中利典
PROFILE

田中 利典

たなか りてん

京都府綾部市・林南院住職。金峯山寺長臈、種智院大学客員教授。1955年京都府生まれ。龍谷大学、叡山学院卒。修験道の歴史や祈り、受け継がれる文化を、誰もが親しみを持てる言葉で伝えている。

\ 今年、蔵王権現さまにお会いできます /
令和8年秋
秘仏ご本尊特別御開帳

国宝・仁王門の大修理勧進のため、国宝・蔵王堂の秘仏ご本尊
「金剛蔵王大権現」が特別ご開帳されます。

期間:2026年10月24日(土)~11月30日(月)
拝観時間:8:30~16:00
特別拝観料:大人1,600円/中高生1,200円/小学生800円

※法要などにより、一時的に入堂が制限される場合があります。

⛰️ 修行体験をしてみたい方はこちら

金峯山寺では、修験道の世界にふれられる体験修行を公式ホームページで紹介しています。5月から10月の毎月一回、一般の方を対象に大峯修行体験が開催されており、女性が参加できるコースも設けられています。大峯山での修行に興味のある方は、ぜひご覧ください。

▶ 金峯山寺の体験修行についてはこちら

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