2026.05.29
1泊2日で出雲を回ってきた旅を3回に渡ってご紹介するコラム、いよいよ後編です。
前編では「稲佐の浜」と「出雲大社」、中編では「日御碕神社」と「美保神社」を回ってきましたが、最終回となる今回は、島根在住のジモティがオススメする3つの神社を巡ります。「神魂神社」「八重垣神社」、そして「佐太神社」の3社。
特に3つ目の佐太神社は本気でオススメ!とのことで、予定になかったのに急遽行ってきました。果たしてどんな神社なのか、実際に参拝した様子をレポートしていきます。最後まで、お楽しみください。
2日目の朝、最初に向かったのが神魂神社(かもすじんじゃ)です。
地元民が「絶対に外せない」と、真っ先に名前を挙げたのがこちらでした。
実はこの神社、現存する日本最古の大社造りの本殿を持ち、国宝に指定されているという、とんでもないスペックの古社なのです。
神魂神社は、島根県松江市に鎮座する、出雲でも屈指の歴史を持つ古社。
御祭神は伊弉冉大神。日本の国土と神々を生み出した女神で、夫神の伊弉諾大神と共に祀られています。
「かもす」という名前は、「神坐所(カミマストコロ)」が転じた説や、御祭神の伊弉諾大神・弉冊大神が「日本初の夫婦=神結び」からとられた説などさまざま。古来より良縁成就・縁結びの神社として知られており、さらには安産や子宝、産業繁栄のご利益もいただけるそうです。
創建は不明ですが、社伝によれば、出雲国造の大祖・天穂日命が高天原からこの地に降り立ち、創建したと伝えられています。文献では鎌倉時代に初めて登場しており、実際に神社として成立したのは平安時代頃ではないかと言われています。
神魂神社最大の見どころは、国宝に指定されている本殿。現存する最古の「大社造」として知られ、天正11(1583)年に再建されたものです。
出雲大社の本殿と同じ大社造という建築様式ですが、神魂神社の本殿はそれよりも古く、原型に最も近い姿を今に伝えていると言われています。
素木造りのどっしりとした社殿は、華美な装飾こそないものの、見る者を圧倒する存在感があります。
神魂神社と出雲大社には、それぞれ雲が描かれています。
ただ、出雲大社の御本殿に描かれた「八雲の図」は7つなのに対し、神魂神社の御本殿には何故か9つの八雲の図が描かれています。
「出雲大社から雲が1つ飛んできた」とも言われていますが、何とも意味深ですね。
神魂神社には昔、「小成池」という池があったそうです。
江戸時代初期、関ヶ原の合戦で活躍した武将・堀尾忠氏(堀尾吉晴の息子)が、松江に城を建てるための調査をしていた際、神魂神社に参拝しました。すると忠氏は、小成池を見物したいと言い出します。神主は「禁足地である」と断りましたが、忠氏は「国主として見なければならない」と強引に案内させます。神主は池の近くまで案内し、忠氏は一人で池に向かいました。戻ってきた忠氏は顔色を紫にして、ほどなく病で亡くなってしまったそうです。
なお、現在小成池の場所は秘匿されていて、どこにあるか一般には公開されていません。忠氏は一体、池で何を見たのでしょうか…
神魂神社もあまりアクセスが良いと言える場所にはありませんが、車でも公共交通機関でも、参拝することができます。
松江道・松江中央ICから約10分。神社専用の無料駐車場あり。
八重垣神社から車で約10分と近いため、セットで参拝するのがおすすめです。
JR松江駅から一畑バス「風土記の丘・松江農高前」行きに乗車、「風土記の丘入口」バス停下車後、徒歩約15分。
本数が少ないため、事前に時刻表の確認をおすすめします。
午前中、宿泊していた松江市内のホテルから20分ほどで神社に到着。目の前にある駐車場に車を停めて、いざ参拝です。
道路を挟んだ場所に、木々に囲まれた鳥居が現れました。これは二の鳥居で、後ろを見ると桜並木に囲まれたまっすぐ伸びた参道の先に、一の鳥居が見えます。二の鳥居から先は、石垣が積まれた一段高いところに、参道が続いていました。

さて、ここでいつものセリフを言わせてください。
「鳥居をくぐった瞬間に、空気が変わった」
この神社では、すぐにそれを感じました。まさに、聖域なんだなぁ~と納得です。
厳かな雰囲気の中、立派な木々に囲まれた参道を進みます。趣ある手水所で手と口を清めたところで、参道が二つに分かれました。
まずは階段でまっすぐ上がる「男坂」。続いて、ゆるやかな坂道を登っていく「女坂」。男坂の方が圧倒的にショートカットですが、すごく急な石段です。しかし、苔むした雰囲気がかっこよかったので、こちらの道を選びました。
息を切らしながら石段を上りきったところで、空間が開けました。

広場には、いくつかのお社がありましたが、やはり国宝の本殿にすぐ目が行きます。第一印象は「思ったよりも小さい」だったのですが、余計な装飾をそぎ落とした素木造りの社殿は、ただそこに在るだけで、圧倒的な存在感です。
同行者が「本物って感じがする…」とつぶやきました。そう、それ!それが言いたかった!
確かに地元民がオススメだけあり、何も言わなくてもそのすごさが感じられる場所に来たな、という印象です。
本殿を参拝したら、続いて摂社や末社にも参拝します。水の神・闇龗神と、穀物の神・倉稲魂神を合わせてお祀りする「貴布祢稲荷両神社」。
何とこちらも、重要文化財だそうです。さすがすぎですよね…建物もですが、鎮座しているお狐さんからもすごい歴史を感じられました。

参拝を終えたところで、御朱印をいただきに向かいました。実は神魂神社の御朱印は神社の方がいらっしゃる日しかいただけないため、激レアと言われています。
結果は…残念ながら不在デーでしたので、いただけませんでした。
数回行ってようやくいただけた、という方が多数なので、また参拝してリベンジしてみたいと思います。
神魂神社から車で約10分。次に向かったのは、縁結びで名高い八重垣神社です。
最近は、朝ドラ「ばけばけ」にも登場して、連日大人気だそう。神魂神社と同じく「意宇六社(おうろうしゃ)」のひとつで、セットで参拝するのが地元民流です。
八重垣神社は島根県松江市にある神社。
創建年代は不詳ですが、須賀神社(ヤマタノオロチ退治の後に素戔嗚尊が稲田姫命と暮らすために立てた宮殿の場所と言われています)から、元々この地にあった「佐久佐神社」の境内地に遷座されたのが始まりと言われています。
御祭神は素盞嗚尊と、その妻神・稲田姫命の夫婦神。
ヤマタノオロチを退治した後に稲田姫命と結ばれたスサノオが、「八雲立つ 出雲八重垣 妻込めに 八重垣造る その八重垣を」と愛の歌を詠みました。
日本最古と言われるこの和歌から、「八重垣の宮」という名がついたと伝えられています。また、二人がこの地で日本初の結婚式をしたことから、縁結び・夫婦円満・子宝のご利益で知られ、全国から多くの参拝者が訪れます。
八重垣神社といえば、なんといっても「鏡の池」の縁占いが有名です。
境内奥地の佐久佐女の森は、スサノオがヤマタノオロチを退治する際に、稲田姫を八重垣で囲って隠した場所と伝わります。文豪・小泉八雲も「神秘の森」と称した場所で、朝ドラ「ばけばけ」でも、たびたび縁結びスポットとして登場していました。
境内には椿の木が多く、中でも地面から二本の木が出て地上で一本になっている「夫婦椿」は、一心同体・愛の象徴として神聖視されています。
さらに春頃になると、二枚の葉がくっついたハート型の葉が落ちてくることもあるそう。授与所の奥に飾られているので、ぜひ探してみてください。
八重垣神社は市内に近い場所にあり、これまで紹介した神社よりも、少しアクセスが良くなります。
松江市中心部から約15分。
境内横に神社専用の無料駐車場もあります。
JR松江駅から松江市営バス「八重垣神社行き」に乗車、終点「八重垣神社」バス停下車すぐ。本数は、1時間に1本程度。所要時間は約20分です。
神魂神社を後にして、車で10分ほど。あっという間に、八重垣神社に到着しました。
早速境内へ。鳥居をくぐると、参道がまっすぐ伸びていて、正面に本殿があります。

まずは拝殿でご挨拶。
本殿の左右には伊勢宮や貴布禰神社、稲田姫命の両親の脚摩乳・手摩乳などを祀る摂社が並びます。少し離れたところには、山の神様を祀るお社、そして夫婦椿などがあります
(なお、あえて触れませんが、小学生男子が喜びそうなモチーフの御神体が境内に結構ありました。まぁ、縁結び・夫婦円満・子宝のご利益ですからね(笑))。
以上!と思いきや、実は川を越えた先に、この神社ならではの縁結びスポット「鏡の池」があるのですっ。まずは、本殿右手にある授与所で、池で使う占い用紙をいただきます。何も書かれていない白い紙を持って、いざ森の中へ!

拝殿の左手から橋を渡り、佐久佐女の森へ進みます。
目的の「鏡の池」は、この森の中。木漏れ日が差し込む静かな小道を5分ほど歩くと、こぢんまりとした池が現れました。

社務所で購入した占い用紙(100円)を手に、いざ実践!用紙を池にそっと浮かべ、硬貨を乗せてお祈り。果たして、結果は…?
同行者の用紙は、みるみるうちに池の中央へ向かって、あっという間に沈んでいきました!まさに「瞬殺」。15分以内に沈めば良縁が早く訪れるそう。何ともうらやましい限りです。
一方、私の用紙といえば……どんどん遠くへ流れていくわ、なかなか沈まないわで、見守る時間がなんとも長い。
遠くで沈むと「遠方の人とのご縁あり」、遅く沈むと「縁が遠い」というジンクスを思い出しながら、「うーん…」と唸るしかありませんでした。
しかも、最後には紙が破れて、乗せた100円玉がするんと池の中へ。むむむ、これは縁遠すぎるのでは?神様、もう少しだけ急いでいただけないでしょうか…と思いつつ、ついに沈むのを見ないまま、終了してしまいました…

しょんぼりと境内に帰ってきたところで、同行者がお手洗いに行っている間、再び授与所を覗いておりました。
すると、目に飛び込んできたのが、めちゃくちゃかわいい名刺入れ!
4色から選べて、めちゃくちゃ迷います。結局、一番シックな色を購入して、今も愛用しております。お土産にも喜ばれること間違いなしなので、お友達の分も買って帰ればよかった~と後悔です。
八重垣神社の参拝を終えたとこで、今回の旅をアテンドしてくれたジモティのお店へ。
松江市内でスリランカ料理のお店をされている方で、こちらで出雲の話を伺いながらランチをいただきました。食べている間、出雲の神様のことをかなり熱く語ってくれたのですが、それがもう本当に面白くて。
その話の中で、「せっかくここまで来たんだから、絶対に行った方がいい!」と推してくださったのが、最後に訪れた佐太神社でした。
佐太神社は島根県松江市に鎮座する出雲二宮。
奈良時代に創建され、古くは出雲国三大社のひとつ「佐陀大社」と呼ばれた、大変由緒ある古社です。
出雲国風土記にも登場しており、出雲大社に並ぶ格式の高さを誇っていました。
御祭神は佐太大神、別名・猿田彦大神。
導き、道開き、交通海上安全、長寿の御利益があると篤く信仰されています。また、正中殿には伊弉諾尊・伊弉冉尊も祀られており、旧暦10月には母神・伊弉冉尊を偲んで八百万の神々が集結するとされ、「神在の社」とも呼ばれています。

佐太神社の最大の見どころが、「三殿並立」と呼ばれる、大社造りの本殿が三つ横並びになっている社殿の姿です。
中央の正中殿は左右の南殿・北殿よりひと回り大きく、大社造の遺構としては出雲大社本殿に次ぐ規模を誇るそう。
国の重要文化財に指定されており、他の神社では目にすることができない珍しいものです。
神在月と呼ばれる旧暦10月、出雲では出雲大社をはじめとする神社で数々の神在祭が執り行われます。
しかし、佐太神社には通常の神在祭とは別に、旧暦4月に「神在裏月祭」というお祭りがあります。何でも、神在祭に来られなかった一部の神様を迎えるために執り行われる、特別な行事とのこと。何とも興味深い行事ですね。
佐太神社は松江から見ると海側にあり、他の神社とは少し離れています。
松江市中心部から約20分。
境内の前に専用の無料駐車場があります。
JR松江駅から一畑バス恵曇行きで約25分、「佐太神社前」バス停下車すぐ。
ただし本数が少ないため、事前に時刻表の確認が必須です。
松江市内のお店を後にして、車で20分。市街地からやや離れ、住宅地と田園地帯が入り混じりはじめた場所に、佐太神社は鎮座していました。
境内の駐車場には、私たちの他に車はほぼおらず。貸し切り状態での参拝です。
小さな橋を渡って参道に入ると…はい、また来ました、空気変わる神社!地元の人が推すだけあって、ピーンと張りつめた空気感がたまりませんっ。

手水舎で手と口を清めたら、3つのお社が並んでいる場所へ。
正中殿を中心に、左右に北殿と南殿が並ぶというスタイルがとてもかっこいいです。正中殿には佐太大神=猿田彦大神に加えて、伊弉諾尊と伊弉冉尊、北殿には天照大神、そして南殿に素盞嗚尊。
つまり、めちゃくちゃ力の強い猿田彦大神に加えて、日本神話の主人公ファミリーの両親・お姉ちゃん・弟が並んでいるわけです。何ともゴージャス。
神聖な雰囲気の中でのお参り、まさに出雲の旅の集大成と言っても過言ではない神社でした。
御朱印をいただいた後、ふと見るとおもしろいおみくじを発見しました。
何と、金色に輝く、しじみのおみくじ!
午前中に鏡の池では散々な結果だった占い…せっかくなので、おみくじにも運勢を聞いてみることにしました。
釣り竿で釣るおみくじ。このタイプ、すごい楽しいですよね。

結果は…吉!おお~、良かった良かった。ただ、ここにある一文がありまして。
「心に慢り起らば其為身をあやまる油断なくつつしむべし」
というもの。この一文が、後にジワジワ効いてくることになります…
ところで、この神社の最大のパワースポットとも言える場所が、裏山の中にあるそうです。
その名も「母儀人基社」というのですが、何とこちら、伊弉冉尊の陵墓だと伝わる場所なのです!ただ、結構な階段を上った先にあるそうで、この次の予定が控えていたので今回は断念しました…
佐太神社自体がとてもすばらしい神社でしたので、ぜひ次回参拝した時は、こちらも訪れてみたいと思います。
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「すみません、この後の大阪行きのバスは、すべて満席です」
な、な、何ですってぇぇぇ!!!???
普段、私は結構綿密に旅を計画するタイプで、何なら今回、空港メンバーの飛行機の時間まで調べていたのに…まさかの、自分の移動手段の予約をしていなかったのですっ(だって、平日の長距離バスって大抵ガラガラなんですもの…(泣))
慌てて鉄ヲタメンバーに電話をしたところ、「え、まだ駅にいたの?」と呆れられ…結果、やくもの席がラスト2で何とか抑えられて(少し早かったのが功を奏しました、この後の予約の方は、約2時間も立ちっぱなし!お疲れ様すぎます…)、岡山から新幹線で移動…
おみくじの「慢心」「油断」という文字がグルグル回った、最後まで波乱万丈な旅となりました。
