「神様に呼ばれないと行けない」でおなじみ!話題の「天河大辨財天社」に行ってみた
2025.02.02
2025年(令和7年)、巳年となりました。ネットやSNSでは、「蛇にまつわる神社に行こう」という情報が多く出てきますが、中でも話題なのが「神様に呼ばれないと行けない」でおなじみ、奈良県にある「天河大辨財天社」。奈良県の中でもなかなかの秘境にある神社ですが、初詣に思い切って参拝し、ご祈祷も受けてきました!
今回はそんな天河辨財天についてや、実際に参拝した様子、ご祈祷を受けた話、そしてその後に待ち受けていたちょっとおもしろい話をレポートします。
天河辨財天とは?
天河辨財天は奈良県の吉野にある神社。正式名称は「天河大辨財天社」と言い、「天河神社」や「天河弁財天」とも呼ばれています。その歴史は古く、飛鳥時代に役行者によって開かれたという記録が室町時代の書物に残っているほど。さらに、空海が高野山の開山前に行った大峯山での修行の中で最大の行場が天河神社だったという逸話も残っています。
御祭神は宗像三女神の一人・市杵島姫命。市杵島姫命が弁財天と同一視されることから、厳島神社・竹生島神社と並んで日本三大弁財天と言われています(所説あり)。
天河辨財天のここがすごい!
全国にたくさんある弁財天ですが、なぜこれほどまでに天河辨財天がすごいと言われるのでしょうか。
まず挙げられるのが、その歴史とパワーです。役行者によって開かれたという大変長い歴史を持っており、日本三大弁財天の中でも筆頭であると言う人も少なくありません。また、空海が長期の修行場所に選ぶほどの霊力を持ち、今なお強いパワースポットとしても知られています。
さらに、芸能の神としても知られており、能楽とも深い関係を持つことから、多くの芸能人が訪れてご利益をいただいていることも人気の理由のひとつです。
いざ、天河辨財天に参拝。山道を抜けた先には、衝撃の光景が!
今回、奈良旅行の一環として訪れた天河辨財天。実は元日に、大神神社を初詣で訪れていました。都会の混雑に慣れている我々ですら、そのあまりの人の多さに驚いたことから、なるべく早い時間に出発することにしました。目標は10時前。混雑に対する危機感を持ちつつも、心のどこかでは、「まぁ山奥の神社だし、そこまですごくないでしょう」という思いもありましたが…待っていたのは、驚きの光景でした!
人気のない参道を抜けると、車と人がすごい!
1月2日の朝。宿泊していた天理市内から、ややクネクネの山道を進むこと約1時間半。天河辨財天がある天川村に到着したのが、ちょうど10時くらいでした。この時点で、少し嫌な予感はしていました。走行中は前後に全く車がいなかったのに、村に入った途端に次第に車が増えていったのです。そして、天河辨財天に向かう橋を渡る頃には、前後10台ほどの車の列となっていました。
橋を渡ると、「ようこそお参りくださいました」という赤いゲートがかかっています。車1台がちょうど通れるような民家の間の道を抜けていくと、何とそこには、複数の交通案内の人と、ぞろぞろと道を歩く人々。そして、「臨時駐車場」の文字が…しかも、この時間に、ほぼ満車状態だったのです!
村総出でお出迎え!?天河神社が愛されすぎていた
交通誘導の方にしたがって、何とか車を停めることができました。案内の方に「神社はこちらですか?」と聞くと、後ろの民家から出てきた方が、「あ、そっちですよ!」と助太刀。そして、何と交通案内に加わったのです。えっ!?まさかこの方々は、皆様、天川村の住人さん!!??後で知ったのですが、この日に交通誘導や道案内をしてくださっていたのは、神社にやとわれた方々ではなく、村役場や村民の方々だったそうで…何でも「天河さんに恥をかかせてはいけない!」と、多くの方々が参加されていたうそです。愛がすごすぎるっ。
1月2日の10時で、行列は30分ほど。
神社は臨時駐車場から、歩いて数分の場所にありました。普段はすぐ隣に駐車場があるようですが、もちろん満車状態。うーん、完全になめていました…。到着した時点で、鳥居のすぐそばまで参拝の行列が。まぁ、車のその状態なら、納得ですね。
ご祈祷を考えていたので、列を整理していた方に「ご祈祷はどちらですか?」と伺うと、「右手です」と教えてくれました。教えてくれた場所には参拝者がずらりと並んでいたので(後でわかるのですが、ご祈祷受付は並んでいる人の中腹の右手にありました…)、やはり一度は列に並ばなければならないのかな…と思い、ひとまず参拝することにしました。
結果、拝殿に到着したのは、鳥居前から並ぶこと30分ほどでした。思ったよりスムーズだったな、という印象です。
いよいよ神様とご対面!
拝殿には、帳をくぐって入ります。中はストーブがついていて、あったかい。この心遣いもありがたいですね。
驚いたのが、内陣で参拝できるということ。そして、内陣内の作りがとても面白かったことです。
入り口から見ると、左手に神様がいらっしゃる内内陣、そして真ん中に一般の人が参拝できる場所があり、右手にご祈祷を受ける段がありました。ほとんどの神社では、神様がいる内内陣があり、ご祈祷などを受ける人はその前の内陣まで、一般の人は帳や扉で仕切られた外陣(げじん)で参拝するというパターンが多いのですが。こんなに神様の近くで参拝できるなんて、とってもありがたいな~と思ってお参りしました。
鈴の音に癒される
天河辨財天の特徴なのですが、拝殿前の鈴が変わった形をしています。これは「神代鈴(五十鈴とも)」という宝物で、天岩屋戸の際に天宇受売命が持っていた「ちまき矛(神代鈴をつけた矛)」と同じものだとか。音がとてもキレイなのですが、参拝している人の中できちんと鳴らせている人はかなり少数でした。結構難しくて、私もうまく鳴らせず…同行者はかなり上手に鳴らせていて、「今年いいことありそう♪」と喜んでいました。
参拝は一方通行です。拝殿に向かって左手から入り、右手に出る、という感じ。出口の先は神社の裏手になっていて、役行者を祀るお堂などがありました。
見逃しラッキー?ご祈祷がいいことの連続だった
ところで、参拝できたことに浮かれていたのですが、ご祈祷の受付所をすっかり見逃していたことに気づきました。しかし、一般の参拝の方が神様の近くで参拝できるというめずらしい神社。先に参拝できたことこそ、神のお導き?と前向きな気持ちで、再度正面へ。鳥居側に戻ると、列はますます伸びていました。わずか30分ほどでしたが、やはりどんどん人が増えてきているようです。
ご祈祷の受付は、鳥居から拝殿までの階段を上がった、ちょうど中腹にありました(右手、正しかったです)。靴を脱いで入ると、とてもレトロな雰囲気の待合所。案内の方がいなかったのですが、奥に受け付けがあったので、他の人のマネをして祈祷申込書を記入しました。
しばらく待っていると神職さんがいらして受付をしてくださったのですが、なぜか私が最初に受け付けをしていただけました。結構待っている人が多かった中で、何だかとってもラッキーです。そして、他の方の受付を中でも神職さんが親しげに声をかけている方がいました。いつもいらしている方か、もしかしたら崇敬会の方や総代さんとかなのかな、と思っていたのですが、これが後ほど、またまたラッキーにつながります。
待合室でしばし待っていると、再び神職さんがお迎えに来てくださり、最初に受け付けをした順番ということで私が最初に内陣に案内されました。当然、お席は一番前の正中!え、ラッキーすぎません?しかも、ご祈祷をあげてくださる方が、先ほど参拝した時にご祈祷をされていた神職さんとは違う、多分神主さんと思われる方!おそらく、親しげに話していた方がいらしたので、わざわざ出てきてくださったようです。
その方の祝詞が、まぁ何ともすばらしいのです。時折鳴らされる鈴の音と共に、流れるような祝詞のあまりの心地よさに、思わず感動してしまいました。
受付所を見逃したことが、何だか幸運につながったような気がします。
榊をくるくるして奉納して、ご祈祷は無事終了。最後にお守り(お札と選べました)と御神饌をいただいて、内陣を後にしました。
事件発生!同行者が引いたおみくじが…
春からとてもいいご祈祷をしていただいき、大満足。その状態で、御朱印をいただきに行くと、2つの列ができていました。1つの列は、お守りなのかな?と思っていたのでもう片方の列に並ぶと、こちらがお守りの列だった様子。「御朱印はいただけないですよね?」と伺うと、「書置きでよろしければお出ししますよ」とのこと。もしもう1つの列に並んでいたら、さらに30分くらいかかっていたはず…。こちらも超ラッキーです。
せっかくなのでおみくじを引いてみようとなり。私は大吉!喜んでいると、同行者が「えっ?」と言いました。見せてもらうと、何とまさかの凶!嘘でしょう!?あ、でも、凶であっても中身はいい時があるので読んでいくと、
「失せ物、出ず」
「待ち人、来ず」
なかなかの内容です。もう笑うしかないですよね!しかし、同行者はかなり前向きで、「凶なんてめったに出ないから、むしろラッキーだよね」とのこと。何とポジティブなのでしょう。さすが、美しい鈴の音を鳴らせる人です。
以前も紹介しましたが、悪いおみくじは、利き手ではない方の手で結ぶと、中身が転じると言われています。がんばって左手で結んだあと、再び拝殿の方に手を合わせていました。
まとめと少し反省…。
今回、念願だった天河辨財天に初詣ができて、私的にはすごくうれしかったのですが。その裏で、神社さん側はなかなか大変だったようです。実は私たちが参拝を終えて外に出てみると、行列は末尾が見えないほどの長さになっていて、まさに蛇のようになっていました。さらに、駐車場もすべて満車状態で、臨時のさらに臨時駐車場となっている学校の校庭まで長い行列ができていました。
例年よりもはるかに多くの人が参拝に訪れてしまっていたようで、神社側から注意喚起が出る程のオーバーツーリズム状態になってしまったとのこと…SNSの情報に乗って、ちゃっかり初詣をしてしまった私自身も、大きく反省しました。これから参拝をしたいという方。天河弁財天様は逃げないので、混雑を避け、何でもない静かな日に参拝してみてください。きっと、神様と静かに向き合えて、その方がご利益倍増ですよっ。
筆者紹介
**Ryo**
執筆家。
趣味は寺社仏閣巡りと国内旅行、
読書とBリーグ観戦。スタバ好き。
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