金峯山寺秘仏ご本尊 降臨秘話・第2話【前編】「御本尊は拝むもの」

金峯山寺秘仏ご本尊 降臨秘話・第2話【前編】「御本尊は拝むもの」

2026.10.11

前編「御本尊は拝むもの」

奇蹟の電話から始まった定期ご開帳は、
12万6千人もの参拝者を迎える大成功となりました。

でも、りてん先生の心の中にはずっと、
ひとつの「願い」が引っかかっていて……

「見る」より「拝む」、先生の譲れない願い

りてん先生
平成24年の春からはじまった定期的な秘仏ご開帳は、
世の中の「秘仏拝観見仏ブーム」の波に乗ったこともあり、
大成功のスタートを切ることができました。もちろん、JR東海さんの大キャンペーンがあってこそです。ただ、定期的にご開帳を行うにあたって、
ひとつ大きな懸念がありました。
それがまさに、その「見仏(けんぶつ)ブーム」だったのです。
巡縁ちゃん
けんぶつ……仏様を見る、ですか。
りてん先生
はい。本来、御本尊や仏さまという存在は、
心を込めて祈りを捧げ、手を合わせる対象であり、
「鑑賞して見るもの」ではありません。けれど、ご開帳を行えば、
どうしても大勢の方が「見に来る」ことになります。せっかく足をお運びいただくからには、ただ見るだけでなく、
心から御本尊さまを拝んでいただきたい……
それが私の強い願いでした。

前代未聞!内陣に参拝者を!?

りてん先生
そこで、当時の五條良知教学部長(現在の管長さま)とも熟考して発案したのが、
「発露(ほつろ)の間」の設置でした。……とはいえ、本堂の奥深い「内陣(ないじん)」にそんな場所を設けるなんて、
当然ながらお寺の中では大反対の嵐!それもそのはずです。内陣といえば、
本山の僧侶以外は立ち入ることの許されない厳格な聖域。そこに一般の参拝客をお通しするなんて、
本来ならあり得ない話で、
他のお寺でも例のない前代未聞の試みだったのです。
巡縁ちゃん
たしかに、あの囲いは、他のお寺では見たことがないですね。
りてん先生

そうでしょう。

ですが幸いなことに、管長猊下や寺内の人々のご理解をいただくことができ、
ご開帳の途中から「発露の間」を無事に設置することができました。

蔵王堂内陣の「発露の間」

蔵王堂内陣の「発露の間」

そして今では、蔵王堂を訪れる皆さまが深く祈りを捧げる、
かけがえのない場所として引き継がれています。

巡縁ちゃん

私もあの空間、大好きです!

蔵王権現さまと、一対一で向き合える気がするんですよね。

そして、あの場所があるから、
もう一度、金峯山寺のご開帳に訪れたいと思います。

「ただ見るのではなく、拝む」……
りてん先生のその一念が、前代未聞の「発露の間」を生み出しました。

そしてこの先、権現さまはさらに思いがけない形で、
先生たちに語りかけてくることになるのです。

後編へ続きます!

 

筆者プロフィール

田中利典
PROFILE

田中 利典

たなか りてん

京都府綾部市・林南院住職。金峯山寺長臈、種智院大学客員教授。1955年京都府生まれ。龍谷大学、叡山学院卒。修験道の歴史や祈り、受け継がれる文化を、誰もが親しみを持てる言葉で伝えている。

\ 今年、蔵王権現さまにお会いできます /
令和8年秋
秘仏ご本尊特別御開帳

国宝・仁王門の大修理勧進のため、国宝・蔵王堂の秘仏ご本尊
「金剛蔵王大権現」が特別ご開帳されます。

期間:2026年10月24日(土)~11月30日(月)
拝観時間:8:30~16:00
特別拝観料:大人1,600円/中高生1,200円/小学生800円

※法要などにより、一時的に入堂が制限される場合があります。

⛰️ 修行体験をしてみたい方はこちら

金峯山寺では、修験道の世界にふれられる体験修行を公式ホームページで紹介しています。5月から10月の毎月一回、一般の方を対象に大峯修行体験が開催されており、女性が参加できるコースも設けられています。大峯山での修行に興味のある方は、ぜひご覧ください。

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