2026.10.03
第96回米アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞を受賞した『君たちはどう生きるか』(2023)の世界を軸に、ジブリ作品を通して“禅的なまなざし”に触れる展覧会です。会期は12月6日(日)まで。紅葉の京都を訪れる予定の方は、旅程に組み込みやすい時期の開催です。巡縁では一足先に、10月2日(金)に開催された報道内覧会に参加してきました。展覧会のみどころに加えて、あわせて楽しみたい禅寺の御朱印や坐禅体験の情報もご紹介します。ぜひ、お出かけ前の予習としてお役立てください!
今回の展覧会の原点は、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、龍雲寺の細川晋輔住職、円覚寺の横田南嶺管長、福聚寺の玄侑宗久住職ら禅僧たちと語り合った著書『禅とジブリ』です。ジブリの名作から死生観や人生哲学を禅的に読み解き、宮﨑駿監督や高畑勲監督との映画づくりの経験に照らして禅を語った一冊で、展覧会はこの本から生まれました。





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禅と、ジブリ。一見意外な組み合わせですが、実はジブリ作品には善悪をきれいに二分しない多義性があり、答えを急がない余白があります。また、わからないままに受け取る姿勢も、作品のあちこちに感じられます。これは、禅が大切にする「分けない」「決めつけない」「ありのまま観る」という思想と響き合うそうです。
また、鈴木敏夫プロデューサーは、宮﨑駿監督との四十年の付き合いで、過去の話をしたことがないそう。いつも「今、ここ」という禅的な考えをもつ二人が、ジブリのあの魅力的な作品を生み出しているのかもしれません。展覧会では、この感覚を日常に持ち帰ってほしいという願いが込められています。
禅と聞くと一見難しそうですが、本展は『君たちはどう生きるか』の世界を中心に、誰もがよく知るジブリの作品を通して禅が感じられるユニークなイベントです。立体造形や空間演出、名セリフ、場面写真などを通して、ジブリ作品から禅に触れていく構成のため、普段は近寄りがたいという人でも安心して禅の世界を覗き見ることができる展覧会となっています。また、禅という違った視点から見ることで、今までとは違うジブリの世界と出会えるかもしれません。
ジブリ作品には、たびたび「あっちの世界」と「こっちの世界」が登場します。今回の展覧会では、2つの世界を行ったり来たりしながら、禅に触れていくという構成になっています。入口にはあの青サギが待っていて、ジブリの世界に導かれて始まります。
会場の冒頭は、青サギに導かれて眞人が足を踏み入れた“あっちの世界”。ドアの向こう側には、たくさんのジブリの世界が立体造形で広がっています。これがすごくリアルで、すごいっ!ポニョもかわいいのですが、私が一番気になったのは、カオナシの立体造形。暴食をするシーンですが、食べ散らかしたごちそうだけでなく畳の汚れまでリアルに再現されていて、すごい迫力でした。



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続いては、ジブリの映画が作られている一部がのぞき見えるような展示ブース。
ここでぜひ見ていただきたいのが、トトロ!建物の中の大きなトトロが目につきますが、実はこっそり、小さなトトロたちがいるんです。ヒントは建物の右手。ぜひ、現地で見つけてみてくださいね(わからなかったら、巡縁の動画をチェックしてみてください!)。
建物の入口では、打ち合わせ中の宮﨑駿監督と鈴木敏夫プロデューサーのパネルや原画が出迎えてくれます。そこには二人のディスカッションの音声が流れていて、耳を澄ますと、日常のやりとりを立ち聞きしているような気分になります。
その奥には、たくさんの書画がずらり。ここで驚いたのが、これらの絵を描いたのが、まさかの鈴木プロデューサーだということ!上手すぎてびっくりしました。絵に添えられているのは、野沢龍雲寺の細川晋輔住職が記した禅語です。意外なほど、絵と言葉がぴったり合っています。じっくりとひとつずつ見てしまう、とても楽しい展示室でした。





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クライマックスは、禅の世界を中心とした展示となっています。京セラ創業者の稲盛和夫さんや、鈴木プロデューサーが禅に興味をもつきっかけとなった鈴木大拙師、そして次回展覧会が予定されている白隠などの展示が続きます。
さらに、禅寺の一日の紹介や、修行僧が眠る「起きて半畳、寝て一畳」の寝室の模型、本当に10年使われていたという修行僧の衣も展示されていて、禅寺での暮らしがぐっと身近に感じられます。
映像作品も2作公開されていて、このゾーンだけでもかなり見ごたえがありました。
美術展と言えば、外せないのがミュージアムショップ。もちろん、今回もオリジナルグッズがたくさんありました。
注目したいのが、やはり禅らしいグッズ。禅の文字の線香立てや禅っぽいカオナシのグッズなど、今回の展覧会や京都らしさが感じられるグッズがたくさんありました。
そんな中、私が買ったのは、トトロのおみくじ、クリアファイル、手ぬぐい、そして…まさかの花札!だって、柄が全部、ジブリなんですよ!?めちゃくちゃかわいいです!
皆さんもぜひ、展覧会の余韻を持ち帰れるグッズをGETして帰ってくださいね。


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『禅とジブリ』展は、全国への巡回が予定されています。それなのに、最初の会場に選ばれたのは東京ではなく京都でした。
内覧会では、その理由に加え、そもそもなぜ「禅」と「ジブリ」が結びついたのかという誕生秘話まで語られました。展示を見る前に知っておくと、会場で目にする書や絵が、ぐっと味わい深くなります。
「禅とジブリ」の始まりは、京都の出版社(淡交社)に所属する編集者・磯田渡さんから鈴木敏夫プロデューサーのもとに届いた一通の手紙でした。その内容は「禅のお寺のお坊さんと対談をしてほしい」というもの。当時、禅に詳しいわけではなかった鈴木プロデューサーですが、磯田さんは「鈴木さんの言動を見ていると禅と関係がある気がした」と、どこか曖昧な答えを返したそうです。
そんなきっかけだったものの、雑誌『和み』で禅僧との対談連載が始まり、やがて『禅とジブリ』という本にまとまりました。
その後、このタイトルで展覧会をやろうという企画が持ち上がり、さらにはアメリカ、韓国、中国、イタリアなど世界各国から出版のオファーが殺到する事態に。展覧会の冒頭には、仕掛け人である磯田さんが執筆した文章が掲げられています。鈴木プロデューサーが「なぜやるのか書いて」と頼んだところ、戻ってきた文章には「鈴木さんがいつも作務衣を着ているから禅と近いのかなと思った」と書かれていたそうで、会場では鈴木プロデューサーが「実にいい加減なやつだな」と笑いを誘いつつも、「最初のきっかけを作ってくれた」と感謝を語る一幕もありました。




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禅の源流をたどると、インドから中国へ渡り禅宗を開いた達磨大師にいきつきます。日本に伝わった禅は、鎌倉や京都を中心に武家文化や庶民の暮らしへと根づき、建築や庭園、日常の作法に至るまで多大な影響を与えてきました。私たちが日頃「日本的」「京都的」と感じる美意識や静けさの多くは、実は禅の思想と深く結びついています。
今回の展覧会で東京ではなく京都が第一会場に選ばれたのも、そうした歴史的背景と深いゆかりがあるからとのこと。内覧会の挨拶では「日本文化に深く根差してきた禅だからこそ、あえて京都から立ち上げ、全国へ巡回したかった。スタジオジブリとしても京都での開催を切望していた」と熱い想いを明かしてくれました。
内覧会には本展の応援団長として、映画『もののけ姫』でヒロインのサンを演じた俳優・石田ゆり子さんが登壇しました。間近で見た石田さんは本当にお美しく、登場時の拍手が他の誰よりも大きかったのは気のせいではなかったはずです。「応援団長なのに圧倒されて緊張しています」と笑顔で語られる姿に、会場の雰囲気もほっこりしました。
鈴木敏夫プロデューサーとのトークでは、約30年前に初めて出会った際のエピソードや、石田さんの運転で浜田山を猛スピードで駆け抜けたという爆笑の思い出話も。また、初めて坐禅をした際は「呼吸に集中して今この一瞬を生きると、その一瞬が永遠になる」というステキな体験談も語ってくださいました。
石田さんの感想は、「学びに行こうという気持ちを忘れるくらいワクワクします。入口で青サギが迎えてくれて、何かが始まる高揚感がありました」とのこと。周囲の人たちが、うんうんと深く頷いていたのが印象的でした。



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特別御朱印受付証付きセット券は完売しています。(2026年10月3日時点)
南禅寺、相国寺、妙心寺の3寺院では、JR東海「そうだ 京都、行こう。」の限定特別プランとして、ジブリの作品とコラボした限定の特別御朱印を授与していただけます。
授与には、専用の受付証が必要です。受付証付きセット券、および限定デザインの御朱印帖付きセットは、いずれも完売しています。
※受付証をおもちの方も、授与には別途拝観料と御朱印料が必要です。
販売状況の更新については、展覧会公式サイト・JR東海の販売ページをご確認ください。
▷ JR東海 限定特別プラン 特別御朱印受付証付きセット券の詳細はこちら(公式)



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坐禅会セット券/坐禅会参加券は予定枚数の販売を終了しています。(2026年10月3日時点)
大徳寺の塔頭である大慈院では、本展の関連企画として、禅の基本でもある坐禅を体験できる坐禅会が開催されます。
1回の定員は8名の日時指定制で、会期中の土日祝に開催される企画です。
販売状況の更新については、展覧会公式サイトをご確認ください。
期間中は「ジブリ禅画スタンプラリー」と禅語しおりのプレゼントも実施されます。展覧会とあわせて、京都の禅寺めぐりも楽しんでみてはいかがでしょうか。
ジブリ禅画スタンプラリーは、LINEを使ったデジタル形式。対象寺院に設置された二次元コードを読み取って参加します。
とくに注目は、寺院ごとに異なるデザインの禅語しおり!『禅とジブリ』京都展オリジナルで、配布場所は以下の通りです。
展覧会チケットを対象寺院の拝観時に提示するといただけるそうです。
※電子チケットの場合は、USEDのスタンプがあるチケット画面をご提示ください。会場での案内によると、スクリーンショットでも大丈夫だそうですよ。



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展示の最後には、今回の展覧会のテーマでもある「この時代を どうやり過ごすか。」という書が飾られています。目まぐるしく変化し、ときに生きづらさを感じる現代において、まさに心に深く刺さるラストメッセージだと感じました。
内覧会のご挨拶の中で、鈴木プロデューサーは「展示を見て、禅語を1つでも2つでも持ち帰ってほしい」「その言葉が、この大変な時代をうまくやり過ごすきっかけになれば」という思いを語られていました。
ジブリの立体造形や名セリフを楽しみながら、いつの間にか禅の思想や言葉に触れ、自分の心と向き合える『禅とジブリ』展。もしかしたら、ここで『君たちはどう生きるか』という問いに対する、自分なりの答えが見つかるかもしれません。観終わったあとには、心がすっと軽くなるはず。ぜひ、秋の京都観光とあわせて、足を運んでみてください!


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Ryo
趣味は寺社仏閣と国内旅行。旅行手配の手際のよさから、周囲の旅行プランナー役を担うことも。Bリーグ観戦、全国のスターバックス巡りも欠かせない。日本仏教検定1級。