初心者×オタク視点で巡る!京都・下鴨神社&上賀茂神社の魅力探訪

初心者×オタク視点で巡る!京都・下鴨神社&上賀茂神社の魅力探訪

2024.09.24

京都の神社巡りで欠かせないのが「下鴨神社」と「上賀茂神社」。世界遺産に登録されているほど有名な神社ですが、もっと詳しく知れば参拝がさらに楽しくなるはず!今回は「神道初心者の運営」が、この二つの神社を徹底的に調べました。秋が深まるこの季節、ぜひ京都旅の参考にしてみてください。

下鴨神社と上賀茂神社の関係とは?

京都通の人から「下鴨神社と上賀茂神社はセットでお詣りすべき」と教えてもらいました。さて、この二つの神社の関係は一体何なのでしょう?

 

正式名称に秘密が!

下鴨神社の正式名称は「賀茂御祖神社(かものみおやじんじゃ)」、一方の上賀茂神社は「賀茂別雷神社(かものわけいかずちじんじゃ)」と呼ばれます。「別雷」とは「若い雷の神様」という意味なのだとか。この「賀茂別雷神」の誕生エピソードが、二つの神社がセットである秘密に繋がっています。

 

日本昔ばなし

『ある日、美しい姫が川を流れてきた朱色に塗られた弓矢を拾いました。姫はそれを寝床の近くに飾ったところ、不思議なことに懐妊し、やがてとても美しい男の子が生まれました。』

この美しい姫が、下鴨神社に祀られている「玉依姫命」です。

『玉依姫の父である「賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)」は、ある日、成長した男の子のために宴会を開きました。「お前の父だと思う人にこのお酒を渡しなさい」と盃を渡すと、少年は「私の父は天におられます」と言い、雷鳴とともに屋根を突き破って天に昇っていきました。』

まるで少年漫画のような迫力あるエピソードですね!こうして少年は「賀茂別雷命」と名付けられました。

『息子に会いたいと願う祖父と母。ある日、母の夢に賀茂別雷命が現れ、儀式を行えば再び地上に戻ってこられるとお告げを残します。お告げに従い儀式を行うと、立派に成長した賀茂別雷命が神山に降臨し、戻ってきたのです。』

この「神を迎える儀式」は、現在も「葵祭」の一部として残されています。夜中に無言で行われる神秘的な儀式だそうです。

さて、下鴨神社には「玉依姫命」とその父「賀茂建角身命」が祀られているため、「賀茂御祖神社」と呼ばれています。つまり「賀茂氏の祖先を祀った神社」という意味ですね。家族の神様が祀られている神社で、母と祖父をお詣りした後に、息子である賀茂別雷命をお詣りする――これがセットでお詣りしたい理由なんです。

下鴨神社も上賀茂神社も、京都の中心地から少し離れているので、レンタカーを利用すると便利ですよ。

 

下鴨・上賀茂神社のお祭り「葵祭」とは?

5月になると話題になる「葵祭」。いったいどんなお祭りなのでしょうか?

 

『源氏物語』にも登場する葵祭

平安時代の貴族の姿で、京都御所から下鴨神社、上賀茂神社へ向かう優美な行列が特徴の葵祭。京都三大祭の一つであり、平安時代には「祭」といえばこの「葵祭」を指すほど代表的なイベントでした。2024年の大河ドラマ『光る君へ』の主人公、紫式部が記した『源氏物語』にも登場します。六条御息所の物語が進む重要な場面です。

この祭りは、欽明天皇の時代に天災が相次ぎ、「賀茂神の祟り」とされたため、朝廷が賀茂神社の祭りをサポートしたことが起源とされています。

この時に馬に乗って、雷獣である猪の頭を被って馬に乗って一気に駆け抜けることで、神が降り立たれた様子を再現する儀式が加えられたようです。現在も走馬(そうめ)の儀として伝わっています。

 

豊作を祈願する「葵祭」

葵祭は「稲作の豊穣を祈願する」祭りです。古来、豊作こそが繁栄の象徴であったため、国家安泰や国民の幸せを願う大事なお祭りでした。雷神は雨を司る存在とされており、古くは蛇身の水神ともされていたようです。

平安京が造営された際、下鴨神社は京都の鬼門の守りとなり、一層重要な神社となりました。戦国時代に一時衰退しましたが、徳川3代将軍家光が社殿を建て直し、5代将軍綱吉が賀茂祭を復興しました。この頃から徳川家の三つ葉葵と賀茂神社の神紋双葉葵にかけ、「葵祭」と呼ばれるようになりました。

 

斎院ってどんな人?

葵祭の行列の中心を飾るのは、「斎院代」と呼ばれる京都市内から選ばれた未婚の女性です。平安王朝の華麗な王朝絵巻そのままの儀式に参加できるなんて、憧れますよね!この「斎院」とは、古くは未婚の皇女から亀の甲羅の割れ目を使った占い「卜占(ぼくせん)」によって選ばれ、賀茂大社に奉仕した女性のことです。

伊勢神宮にも、未婚の皇女が奉仕する「斎宮」という制度があり、斎院は嵯峨天皇の時代にこの斎宮制度に倣って作られたと言われています。

新古今和歌集の歌人としても知られる「式子内親王」は、賀茂の斎院を務めていました。彼女が斎院として過ごした「神館(かんだち)」の夜に詠んだ和歌も残されています。

「わすれめや葵を草に引むすびかりねの野べの露のあけぼの」
(新古今和歌集・夏)

何で葵がマークなの?

和歌にも歌われたように葵が繰り返しでてきますが、そもそもなぜ「双葉葵」が賀茂神社のシンボルとなっているのでしょうか?

これは、古くから「葵(あふ)」という言葉が「会う」に通じると考えられていたからです。神に会う、愛おしい人に会うための葵――そんな意味が込められているのです。実際、「賀茂別雷神」は神山に降臨する際、葵を使ってほしいとお母さんにお告げをしたと言われています。

 

上賀茂神社に関するはてな

上賀茂神社で気になったはてなを解説します!

 

二つ目の鳥居を入ったら、目に飛び込む二つの砂山。あれは何?

まるで盛り塩のように見える砂山が、二つ並んでいます。これは絶対に意味があるはず!実はこの砂山は「立砂(たてすな)」と呼ばれ、神様が降り立つための依代(よりしろ)なんです。この砂山は、賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)が降り立たれた「神山」をかたどったものなんだそう。

「神山」は上賀茂神社からおよそ2キロ先にある、標高300メートルほどの山。その山頂にある磐座(いわくら)に賀茂別雷命が降り立たれたと言われています。二つの立砂があるのは、陰と陽を表す一対だからだそうです。

毎年9月9日には、この立砂の前で「重陽神事(ちょうようのしんじ)」が行われます。中でも「烏相撲(からすずもう)」は必見です!行司役の刀祢(とね)が白い装束を着て、カラスの鳴き声を真似しながら、横飛びをする所作はユニーク。その後、子供たちが立砂を3周してから相撲を取ります。

 

下鴨神社に関するあれこれ

ここからは下鴨神社にまつわる歴史や神話、さらにはカラスの羽を模したお守りや美人祈願の河合神社など、オタク目線で気になる情報をまとめました!

 

下鴨神社に狸を模した授与品が!?その理由とは

今回、実は賀茂大社にお詣りしてきました。中学校の修学旅行以来の京都です。あの時は、台風で新幹線に缶詰になったことを思い出します。さて、下鴨神社にはなんと「狸を模した授与品」がありました。なぜ狸?と思われるかもしれませんが、実はこの神社と深くつながる素敵な文学作品があるのです。

それは、森見登美彦の小説『有頂天家族』。この作品は、姿を人間に化けることができる狸と、その狸に化け術や人生を教える天狗、そして天狗を手玉に取り、狸を食べようとする人間たちとの複雑な関係を描いています。物語は京都、登場人物たちが町から山まで縦横無尽に駆け回ります。主人公はこの神社を根城にする狸一家の三男です。家族の温かさと、時にドキッとさせられる展開が特徴の、心に残る作品です。

私は『有頂天家族』の愛読者で、今回の参拝では下鴨神社で作品にちなむ御朱印帳と御朱印をいただきました。御朱印には「叡山電鉄」のイラストが入ったものもあり小躍りして喜んでしまいました。この電鉄は物語で重要な役割を果たす要素の一つです。上賀茂神社でも、同じ御朱印をいただき、作品の世界観がより深く感じられました。

『有頂天家族』は現在、第2巻まで刊行されており、アニメ化もされています。第3巻で完結予定とされていますが、今のところまだ刊行されておりません。森見先生の健康を祈りながら、次の巻を楽しみに待っています!

 

下鴨神社にカラスの羽を模した授与品が!その理由とは?

下鴨神社には「カラスの羽」を模した授与品がありました。レースで作られた「烏羽守(からすばまもり)」は華やかでとても美しく、隣に並ぶ四季のお守りとともに目移りしてしまうほど魅力的でした。しかし、なぜカラスなのでしょうか?

下鴨神社の神様「賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)」は、少し読みづらい名前ですが、実は多くの人が目にしたことがある、非常に有名な神様です。それは「八咫烏(やたがらす)」――サッカー日本代表のエンブレムにも使われている、あのカラスです。

神武天皇が日本を統一する際に、道案内をして助けたと伝えられるこの神様、実は「賀茂建角身命」がカラスの姿となって使わされたのだそうです。そう考えると、下鴨神社の神様がぐっと身近に感じられませんか?

 

美人になれる神社があるって本当?

はい、下鴨神社には「美人になりたい」という願いを叶えてくれる神社があります。その名も「河合神社」。下鴨神社の摂社で、糺の森の参道の隅にひっそりと佇んでいます。ここには、玉のように美しいと伝えられる「玉依姫命」が祀られており、美容のほか、安産や縁結びといった女性の願いを叶えてくれる神社です。

特に有名なのが「鏡絵馬」。手鏡を模した絵馬に、クレヨンや自分の化粧品を使って理想の顔を描き、それを奉納することで美麗祈願をします。また、下鴨神社で採れるカリンを使った「氷菓美人水」や「かりん美人水」という美容ドリンクもいただけます。ビタミンCがたっぷり含まれているので、美肌効果が期待できますね!

気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は下鴨神社にも同じ「玉依姫命」が祀られています。では、何が違うのでしょうか?

実は「玉依姫命」という名前は、古事記や日本書紀といった日本神話に多く登場しており、神が宿るほどに心も容姿も美しい女性を表す存在だと言われています。河合神社の「玉依姫命」は、海神である豊玉彦命の娘で、神武天皇の母である「玉依姫命」が祀られておられます。

 

そういえば、昔『鴨長明』って勉強した気がするけど…関係あるの?

鴨長明といえば、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」とセットで覚えている方も多いのではないでしょうか。あの文章、なんだか記憶に残りますよね。災害や混乱が続いた時代を生きて、その体験を綴ったレポートのような前半と、「どうやって儚い人生をゆったりと過ごすか」という内省的な『方丈記』という名作を残しました。

実はこの鴨長明、賀茂神社の神主、賀茂一族出身なんだそうです。父親が亡くなった後は不遇が続いた彼でしたが、「河合神社」の宮司になれるチャンスが巡ってきます。しかし、親族の妨害にあってその夢が叶わなかったことも契機となり、世を儚んで小さな庵(いおり)を作り、隠遁生活を送ることに。そこで生まれたのが、あの有名な『方丈記』です。

美人祈願で有名な河合神社と、鴨長明がつながるとは…歴史って本当に面白いですね!

 

まとめ

今回は、下鴨神社・上賀茂神社、そして河合神社について、オタク目線で気になるポイントを徹底的に調べてみました。おもに下鴨神社多めになってしまったので、上賀茂神社についもまた次回以降詳しく調べてみようと思います。何も知らなくても参拝はとても楽しめました。少し知識を深めると、もっと神社巡りが面白くなりますね!特に上賀茂神社と下鴨神社は、歴史や神話で深く繋がっていて、「セットで参拝すべき」と言われる理由がよくわかりました。
また、河合神社の「鏡絵馬」は、美人祈願を叶える特別な体験として女性に大人気。次回はもっとゆっくり、知識を活かして参拝したいと思います。皆さんも、ぜひ今回の内容を参考に、京都の神社巡りを楽しんでください!

 

 

筆者紹介 

【運営】

巡縁の運営。2024年の1月までは、お寺神社に全くの素人だった。

巡縁に関わるようになり、運気が上がったことを実感をしている人。

趣味は空手と日本舞踊、大人になってから始めた。

自他ともに認める雨女。

 

こちらもおすすめ!

ページトップ